社会

県内でも「原子力教育」 全小中校に副読本

 文部科学省が全国の教職員を対象に実施している原子力発電に関する研修で、1990~2009年までの20年間に少なくとも県内の教職員延べ343人が受講していたことが分かった。

全国の受講者延べ約1万7150人の約2%に当たる。受講した教師からは「安全面ばかり強調していた」と違和感を訴える声が出ている。文科省が作った原子力に関する副読本も県内全小中学校と教育委員会に配布されるなど、同省の「原子力教育」が原発の有無にかかわらず沖縄でも活発に続けられ、浸透していた。
 加藤彰彦沖縄大学長(児童福祉論)は文科省による教育現場への働き掛けについて「国の原発推進政策に沿い、事故があった際の危険性を十分に伝えずに原発の有益性を強調してきた」と偏りを指摘している。
 放射線利用の普及を目的とする財団法人・放射線利用振興協会などが研修を受託していた。研修は沖縄に技術者らを派遣して講義や実験を行い、放射線の性質などの基礎知識を伝える講師派遣と、原子力研究施設に教職員を招いて見学させるセミナーの2通りあった。受講者に交通費などが支給されたこともあった。
 10年度以降は九州などの研究施設に教職員を招くセミナーに形を変えており、沖縄からの参加者数などは不明。3月の福島第1原発事故後は多くの事業が募集を見合わせている。
 文科省は研修の趣旨を「教職員が放射線の性質や社会で役立っている点などの基礎知識を習得し、現場で実践することを意識した内容構成で行ってきた。リスクの面も含めて説明している。ただ原子力発電への触れ方は今後、議論を要する」などと話している。
 副読本は文科省が原子力教育支援事業で製作。原発を「大きな地震や津波にも耐えられる」などと記述している「わくわく原子力ランド」(小学生向け)と「チャレンジ!原子力ワールド」(中学生向け)が本年度、県内全小中学校と教育委員会に計446部配布された。文科省は「不適切な記述は改修する」としている。新たな副読本の配布時期は未定。
 児童・生徒対象の原子力ポスターコンクールは昨年、県内から52件(全国6891件)の応募があり、原子力に関する課題研究コンクールは昨年県内から1校(全国35校)が参加。識者が学校に出向く出前授業は県内で昨年1回開かれている。(宮城隆尋)


文科省が「原子力教育支援事業」で製作した副読本

文科省が「原子力教育支援事業」で製作した副読本