【キラリ大地で】アメリカ 伝統芸能誇り継承 真喜志恵・エリザベスさん(22)


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三線やぶくぶく茶の紹介にも力を入れている真喜志恵・エリザベスさん

 今年のワシントンDC沖縄会の新春会では、2世たちの活躍が目立ち、歌や踊り、そして空手などの沖縄伝統芸能が次世代に継承されていることがうかがえた。特筆したいのは、三線で民謡を独唱し、さらに「ぶくぶく茶」のお手前を披露した真喜志恵(けい)・エリザベスさん(22)だ。

 恵さんは、ペンシルベニア州に住む沖縄市出身の真喜志康稔さんと米子さんの次女。ペンシルベニア州立大学在学中に上智大学に留学し、日本語と文化人類学を学んだ。小学校から学業に秀でただけではなく、生徒会などでリーダーシップを発揮し、ボランティア活動に力を入れた。3年半で大学を卒業。昨年県費留学生として今年の3月まで琉球大学に留学した。
 「アメリカで生まれ育ったが、私にとって沖縄は故郷。沖縄は小さい島だが、世界に誇れる素晴らしい文化と歴史があることを認識した。沖縄の伝統文化が一層好きになった」と話す恵さん。そして、沖縄滞在中にぶくぶく茶の手ほどきを受ける。「講師のお茶に対する姿勢に感動し、精神を集中させその場にいる皆の心がひとつになることに引き込まれた」と話す。
 新春会のステージでは、紅型の衣装を身に着け、歴史を交えながらお茶を立てた。初めての試みだったぶくぶく茶の紹介。県系人の中にも初めての人が多く興味津々に見ていた。
 また、琉大の琉球芸能サークルに入り、三線と歌も学んだ。恵さんは「アメリカにいる時は歌詞の意味を理解することができずにいたが、叔父に歌詞に書かれている場所に連れて行ってもらい、意味を教授してもらい民謡の深さを知った」という。ステージでは方言で自己紹介をし、三線を弾き、澄み切った声で「娘ジントーヨー」を歌った。
 夏休みには、琉大留学時代に知り合った同じく県費留学生だった南米の友人らを訪ねて、3カ月間かけてコロンビア、ペルー、ボリビア、アルゼンチンなどを旅した。「将来は、大学院で国際ビジネスとスペイン語を専攻し、日米間だけでなく南米の地域とを結ぶ何らかの仕事がしたい」との抱負を語った。
 恵さんは、今年JETプログラムに採用され日本に渡り、8月から福岡県の岡垣町役場で国際交流員として国際的イベントのコーディネーターをしている。
 恵さんは「祭りなどを企画したり、異文化講座も担当し、沖縄やアメリカ文化、そして日系人に関してスピーチも行っている。それ以外には、幼稚園などで英語を教え、岡垣町で充実した日々を送っている」と感想を語っている。
(鈴木多美子通信員)