米側の都合優先 米軍再編見直し日米で発表

「地理的優位性」と矛盾
 日米両政府が8日に発表した米軍再編計画の見直しは、こう着する普天間飛行場の返還・移設と在沖海兵隊のグアム移転、嘉手納より南の基地返還の“パッケージ切り離し”を目玉とした。日本政府は、先行返還を示して県の要望に応えた形を誇示したが、実際には米側の厳しい財政事情や米軍の新国防戦略が優先されたことは透けて見える。日本政府が再三示してきた在沖海兵隊の「地理的優位性」や「抑止力」とも矛盾し、沖縄側から不信も噴出している。

 「このままではどちらも動かない。どうすればいいのか」(外務省幹部)。パッケージ切り離しという沖縄の再三にわたる要求が、本格的に日米両政府の非公式協議の俎上(そじょう)に載ったのは昨年秋ごろだった。

■レッテル警戒
 普天間飛行場の辺野古移設を「非現実的」と断じる米議会が再編計画の見直しを迫る上、大幅な国防費削減の中で米軍再編が急務となっている米側が「日本政府をせっついた」(与党幹部)ことで具体協議が始まったとみられるが、玄葉光一郎外相は米主導で見直しが始まったという見方を強く否定。パッケージ切り離しという「辺野古移設に向けた新しいてこ」(防衛省幹部)が“対米追従”の妥協の産物とレッテルを張られることに警戒心をのぞかせる。
 グアム移転と普天間移設を同時に進めるため、「沖縄側の要求」(玄葉外相)に沿ったパッケージ切り離しという“最後のカード”を切った日本政府。玄葉外相は「全てが進まない状況より負担軽減を先行させるのがベターだ」と今回の見直しに自信をのぞかせた。

■論理矛盾
 「海兵隊は、チームで行動することによって効果的な戦力を発揮する。各構成部隊を切り離せば、海兵隊の持つ機能を損なう恐れがある」
 沖縄における海兵隊の地理的優位性に疑問を持つ県に対し、防衛省は海兵隊の「一体的運用」の重要性を強調。抑止力などの観点から在沖海兵隊を「他の県に移設した場合には、沖縄ほどの地理的優位は望めない」と説明してきた。
 しかし、今協議では、在沖海兵隊1万人の県内駐留は堅持したものの、8千人のグアム移転は合意を崩した。米側は4700人をグアムに移し、1500人を米軍岩国基地(山口県)に移転させる案を打診。残りはハワイやオーストラリアなどに「ローテーション」で駐留させるとする。
 日本政府が主張してきた、海兵隊の「一体的運用」「地理的優位性」などと矛盾する流れだ。
 県は「抑止力」などの理由から普天間の県内移設へ回帰した日本政府の説明にいまだ納得していない。基地関係責任者は「これまでもパッケージが外せたということだ」とあらためて不信感をにじませた。(松堂秀樹、内間健友)