米軍再編見直し 日本政府 早くも守勢 外相、あいまい答弁に終始

 在日米軍再編計画の見直しを協議している日米両政府。在沖海兵隊のグアム移転は2006年の日米合意の「約8千人」から「約4700人」に縮小されるなど、両政府が締結したグアム協定は根本から崩れた。玄葉光一郎外相は日米の経費分担を定めた同協定の見直しも示唆。日本側の負担額61億ドル(約4800億円)の減額への期待も広がる。

 こうした日本側の期待にくぎを刺すのはパネッタ米国防長官だ。15日の下院軍事委員会の公聴会で「日本は多くの資金を出し、支援してくれるだろう」と強調した。米側の強硬姿勢を前に、日本政府は早くも守勢に立たされている。

■失われた負担根拠
 「よく留意していきたい。協議はまさにこれからだ」。日本に負担を求めたパネッタ国防長官とは対照的に、玄葉外相は17日の衆院予算委員会の集中審議であいまいな答弁に終始した。
 在沖海兵隊のグアム移転をめぐっては、09年にグアム協定を締結し、日米間の経費分担に合意。日本側は司令部庁舎などの施設整備費として28億ドルの直接的財政支出「真水」を負担するほか、家族住宅や電力・上下水道などのインフラ整備費として32・9億ドルを米側に融資する。
 一方、今回の見直しでは、アジア太平洋地域全体の抑止力を高めるため、当初日米間で合意していた司令部要員ではなく、グアム、ハワイ、フィリピンなどのローテーション配備の中心として戦闘要員が大幅に増えることが見込まれる。「8千人の司令部要員とともに9千人の家族も移転する」というこれまでの政府の説明も成り立たなくなるのは必至だ。司令部要員とその家族の移転の大幅減は避けられず、家族住宅への25・5億ドルの日本側負担は根拠を失っているのが実情だ。

■国際協定に抵触
 日本政府は09~11年度の3年間で962億円を予算化し、米側に資金移転した。だが、米側の環境影響評価の遅れなどで、使用されたのはわずか1割に当たる102億円程度。約9割が塩漬けになっている。
 さらに、米議会はグアム移転の不透明さなどから12会計年度(11年10月~12年9月)からグアム移転関連費1・56億ドルを全額削除。米議会を説得するために在日米軍再編計画の見直しに着手した日米両政府だが、普天間飛行場の辺野古移設に固執したことから「大規模基地に軍事力を長期常駐させる古い枠組み」(レビン上院軍事委員長)と一蹴されるなど、関連予算が復活する見通しは立っていない。
 グアム協定は、日本側の資金提供の条件について「米政府の資金の拠出があること」と明記。防衛省は米側で移転費が削除されたにもかかわらず、12年度防衛予算で81億円を計上した。国際協定に事実上抵触しながらも資金拠出を続けようとする防衛当局の異様な姿勢が際立つ。
 安住淳財務相は17日の衆院予算委員会で「納税者に納得いくような予算の使い方を心掛けながら、外務、防衛の両省に指摘していきたい」と話した。(松堂秀樹)