政治

稲嶺恵一氏インタビュー 国民世論への訴え重要

 -日米両政府が、米軍再編の見直し作業を始める中、辺野古移設の方針は変えていない。
 「私が知事の時代でも世論調査では60%以上が辺野古反対だった。大田元知事の時も、仲井真知事の時も変わらない。60%の反対の中、ぎりぎりの落としどころで苦渋の選択をしたが、鳩山元首相の発言で(反対が)80%以上となり、私たちは苦渋の選択をしなくていいと県民の意識が変わった。

はっきりとした県民の意思と言ってもいい。だからどんな形で推されても沖縄側はイエスという状況ではない」
 -普天間移設と在沖米海兵隊のグアム移転、嘉手納より南の基地返還のパッケージが切り離された。
 「嘉手納より南の返還はプラス。具体的にスケジュールを詰めてもらいたい。今は総論だけで、各論に及ばないと具体的な対策、計画が作れない。具体的に対応できる話し合いをすべきだ。私の時代でも海兵隊の県外移転をはっきりと要望している。あくまでも第一歩として期待したい」
 -米国内でも辺野古移設は実現不可能との見方も強まっている。知事時代と比べ、辺野古移設の実現性をどう見るか。
 「米国は民主主義の国であり世論に配慮をする。沖縄の基地問題は国内問題だ。日本国民のマジョリティーが、日米同盟、安保条約は重要であり、米軍基地を置くことも望ましいとしている。だから日本の世論が辺野古移設を認めないとはっきり言えば、政府はそうする。世論がそうならない限りは、沖縄の基地問題は解決しない。その意味では、沖縄が一本化しなければ駄目だ。過去において県民大会の後、物事はかなり動いた。一本化しながら継続することが重要だ。普天間の危険性の除去は原点。大田元知事は当時の県民の心を代表して提言した。放置されることは大きな問題であり、県民の心を一つにして強く訴えるべきだ」
 -県の取り組み、やるべきことは。
 「この問題は結局、55年体制にさかのぼる。難しい問題は先送りし、日本の防衛、日米同盟の在り方について、国民的論議をしていない。これを新たに喚起しなければいけない。県政として正面から考え方を出し、日本政府にぶつけると同時に、日本国民に対して考えてもらうことに大きな意味がある」
 -野田首相は来県で何を見るべきか。
 「沖縄の基地問題は国民的課題という認識を、今回の訪問を通じて持ち直してほしい。私たちはもう苦渋の選択はできないという意思表示を明快にした。今度は国民、日本国としてどのように受け止めるべきか、どう対応すべきかをしっかり考えるべきだ」(聞き手 瀬底正志郎)