社会

評価基準かさ上げ オスプレイA級事故で海兵隊

 【米ワシントン2日=松堂秀樹本紙特派員】垂直離着陸輸送機MV22オスプレイをめぐり、米軍側が重大事故に当たる事故評価基準(損害額)を引き上げたり、実戦配備の際の危険任務を回避したりして、意図的に安全性を強調する安全記録が作られてきた疑惑が生じている。

米雑誌ワイアードによると、米海兵隊は100万ドル以上としていたAクラスの重大事故を2009年以降200万ドルに変更するなど、事故率を低くするよう調整していた。海兵隊はオスプレイの事故率は海兵隊全体よりも低いと強調してきたが、変更前の基準を適用すれば海兵隊全体の事故率を大幅に上回る。
 09年以降、損害額100万ドル以上でAクラスに分類されなかった事故は2件。この2件を実戦配備以降の事故2件に含めて計算すると事故率は10万飛行時間当たり3・98件になり、単純に比較すると海兵隊全体の平均2・45件を1・53ポイント上回る。
 29億ドル(09年当時)の巨額の費用が投じられたオスプレイ開発・配備計画に米議会ではたびたび計画中止を求める意見が出ており、次期主力輸送機と位置付ける海兵隊が安全記録を良好に見せ掛けるために事故の評価基準を臆せずに変更する実態が浮き彫りになった。
 一方、米会計検査院(GAO)は09年の報告で米海兵隊が成功を強調するイラクでの実戦投入について、「危険度の低い環境下で任務を遂行したにすぎない」と指摘し、事故を避けるため運用が制限されていた。
 ワイアードの11年10月の報道によると、海兵隊本部(バージニア州)でオスプレイ開発計画担当のホールデン中佐はAクラスの重大事故の評価基準をそれまでの100万ドル以上から200万ドル以上に変更したことを認めた上で、いったんは過去の事故について「再分類している」と回答。同誌は、評価基準変更による再分類は海軍安全センターが禁じていることから「重大事故の比率を矮小(わいしょう)化する行為だ」と批判した。
 実際、11年4月の地上走行中に機首をぶつける事故(損害額122万千ドル)と、同年6月に発生した離陸直後に地面に衝突した事故(同150万ドル)はBクラスの事故に分類されている。
 同中佐はその後、過去の事故を再分類していることを否定するなど何度か回答内容を変更。同誌は「どの航空機よりも安全で、飛行10万時間当たりの1・28件(11年時点)とする公式な事故率は信頼され得ない」と指摘した。