米シンクタンク「普天間」提言 辺野古不要論に焦り

沖縄への圧力強化も
 「沖縄は国ではない」と指摘し、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に強力に取り組むべきだと指摘した米有力シンクタンクの提言の背景には、米議会で普天間の辺野古移設の不要論が出ていることへの焦りがある。

 日本政府の政策に影響を及ぼしてきた米国内の勢力にとって、日本側の数千億円に上る支出で建設される予定の新基地や、31億ドル(約2437億円)の支出が確約された在沖海兵隊のグアム移転は軍需産業の利権もかかった重要な計画だ。これまでの事実上の主従関係を見直して「対等な日米関係」に転換して普天間移設を見直そうとした日本政府にあらためてくぎを刺す狙いがある。

 民主党政権は普天間の県外・国外移設の方針を撤回して対等な日米関係の模索を放棄した後、「日米同盟は日本の外交、安全保障の基軸」とこれまで以上に対米依存を強めているが、政策転換の背後に米側の陰もちらつく。

 評論では米軍飛行場移設問題で浮上した「海兵隊不要論」をけん制するため、尖閣諸島を含む日本防衛に海兵隊の存在が役立つと強調。くしくも、ことし4月に石原慎太郎東京都知事が尖閣諸島購入を宣言した場も同財団で、尖閣周辺の緊張を足がかりに日本の防衛力強化を図ろうとする日米保守勢力の思惑もにじむ。

 ヘリテージ財団は米政府の政策決定に強い影響力を持つほか、日本の民主党政権に対しては前原誠司政調会長や長島昭久首相補佐官など外交・安全保障の政策に強い政治家らとのパイプもある。

 また、同財団主催の討論会などには在ワシントンの日本政府関係者が聴講に訪れることも多く、米側の対日政策の意図もそうした機会に日本側に伝わっているのが実情だ。

 沖縄に対する圧力のかけ方を指南する箇所は露骨だ。普天間移設の強行実施をテコにするために提言した「沖縄振興関連の支出は普天間移設が条件だと沖縄にはっきり分からせるべきだ」とする見解は、2013年度沖縄振興予算の要請の際に実行に移される可能性もある。

 実際に、日本政府は普天間飛行場の辺野古移設と沖縄振興予算のリンク論を公式に否定しているが、今月上旬に沖縄を訪問した前原政調会長は辺野古移設容認派に対してリンク論に言及。現状は、米側の指示に沿った沖縄対策が図られつつある。

 米政府は在沖海兵隊のグアム移転関連費を凍結した米議会への対応を迫られており、普天間問題の進展を演出するため、日本政府を介した沖縄への圧力が強まりそうだ。(松堂秀樹)