【チャイナ網路】“担ぎ屋”の今


社会
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 一昔前まで、台湾行きの定期貨客船や那覇空港ではおなじみだった、大きな荷物の“担ぎ屋”さん。個人で商売をすることから、台湾では「単幇客」と呼ばれている。近年めっきり姿を見かけなくなった。
 この商売はいわば重関税の産物だ。1980年代でも衣料品で60%、化粧品なら100%と高かった台湾の税率。個人の持ち込み限度を最大限に活用し、無税で持ち込めば、経費を上乗せしても十分商売になった。正露丸などの薬品から、果物や小型家電まで、あらゆる品が海を越えた。
 海外旅行ブームに乗り、“担ぎ屋ツアー”を仕立て、大量に商品を運ぶ業者も出現。国内経済への悪影響が取りざたされるようになったころ、貿易自由化の波が押し寄せる。関税は大幅ダウン。98年には果物が全面持ち込み禁止となり、「単幇客」は激減する。
 もっとも別ルートの「単幇客」は依然元気だ。ショップを構えアジアを駆け巡って最新流行を運ぶ。年は若くとも情報力とセンスさえあれば、月収30、40万円は望めるという。専従者だけでも、その数3万人を数えている。
(渡辺ゆきこ、本紙嘱託・沖縄大学助教授)