政府、火消し躍起も 2米兵女性暴行致傷

斎藤勁官房副長官への抗議を終えた後、記者団に答える仲井真弘多知事=17日、首相官邸

地元説得手立てなし
 米海軍兵による集団女性暴行致傷事件を受けた日米両政府の迅速対応が目立っている。MV22オスプレイの沖縄強行配備に対する地元の反発が高まっている中、県民の怒りが増幅することを抑えようと躍起になっている姿勢がうかがえる。一方、県は「95年の少女暴行事件に匹敵する」(与世田兼稔副知事)と極めて重大な問題との認識だ。両政府は根本的な再発防止策は示せず、繰り返されてきた女性暴行事件をなくす解決策は見えず、沖縄の反発は収まりそうにない。

 「米軍の指導に瑕疵(かし)があったとしか思えない。一層、厳しい具体的な措置を迫っていく」。防衛省の大臣室。仲井真弘多知事からの抗議に対し、森本敏防衛相は米側に厳正な対処を求める意向を示すのが精いっぱいだった。

■「卑劣な事件」
 発生した16日午後の早い時間に事件の情報を得ていた外務省は、フランス出張中の玄葉光一郎外相に代わり、吉良州司外務副大臣がルース駐日米大使に電話で遺憾の意を表明するなど、在日米軍や駐日大使館、米国務省などに各ルートを使い、再発防止など対処を申し入れた。外務省幹部は異例の迅速対応とした上で、「日本をばかにしているのかと言いたくなる。特に今回は卑劣な事件ということと、今のタイミングで起きたことが大きい」と語る。
 1995年に起きた少女乱暴事件では、事件に加え米軍が米兵の身柄引き渡しを拒否し県民の怒りが沸騰、県内移設条件付きの米軍普天間飛行場の全面返還につながった。垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの沖縄配備をめぐり、地元が猛反発するさなかに沖縄社会が最も忌み嫌う女性暴行事件が起き、政府は沖縄との信頼関係が崩壊し、日米同盟の基盤が揺らぎかねないと危機感を強める。
 容疑者の一人が否認する中、ルース大使も記者団に「捜査に全面的に協力する」とした声明を発表した。日米両政府とも事態の沈静化を図るのに必至だ。
 ただ、仲井真知事が求める日米地位協定の改定に政府は消極的だ。別の外務省幹部は「気持ちは分かるが、今回は地位協定の運用改善が関わる事案ではない」と強調する。
 政府は外務、防衛当局で構成する日米合同委員会を早急に開催して対応策を協議する方針だが、米側に綱紀粛正と再発防止を求める以外に手立てがない。

■地位協定問題視
 今回、県警が容疑者を逮捕したことから、日米地位協定上の「身柄引き渡し」は問題となっていない。
 しかし、与世田副知事は「容疑者が県警に特定されず、そのままグアムに飛んでいたら大問題になった。果たして好意的配慮で引き渡されていたか」と強い危機感を示した。事件の根底に、日米地位協定の問題が今回も大きく存在するというのが県の認識だ。
 仲井真知事も17日の政府などへの要請で地位協定の抜本的改定を強く求めた。県幹部は「米軍に有利な構造を考え直さないから、米軍が不当に守られていると認識を持つというのが、知事の主張だ」と説明し、現在の地位協定が米兵犯罪の発生につながっているとの認識を示す。
 藤村修官房長官が地位協定改定を否定する考えを示唆したことには「(民主党は)改定を提起すると言ったが着手していない。その問題があらためて出た」と批判し、米兵事件が後を絶たない問題が解決されていないとの認識を示した。
(問山栄恵、内間健友)