グアム移転予算復活 米上下両院協議会で合意


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 【米ワシントン13日=松堂秀樹本紙特派員】米議会が計画の不透明さを指摘して削除されていた在沖海兵隊のグアム移転費に関する米政府の関連予算が復活する見通しとなった。上下院両院協議会が国防予算の大枠を定める2013会計年度(2012年10月~13年9月)の国防権限法案の修正について非公式で協議し、2年ぶりの復活計上に合意した。米議会筋が明らかにした。

 日米両政府が一体(パッケージ)としてきた普天間飛行場移設問題の進展と切り離されたことに加え、軍事力を拡大する中国に対応するためグアムの軍事拠点化を進めることで一致した。
 国防権限法案の修正は17日以降に開催予定の両院協議会で決定し、13年1月にオバマ大統領が署名して成立する見通し。13会計年度で国防総省が要求した2600万ドル(約21億円)が復活計上されるほか、凍結されている日本政府支出の約6・2億ドル(597億円)についても調査設計費の執行が認められる方向。
 日米両政府はオバマ政権が打ち出したアジア太平洋重視の政策に伴い、同地域で兵力のリバランス(再均衡化)を加速するため、今年4月にそれまで一体としてきた在沖海兵隊のグアム移転と、行き詰まりを見せる普天間移設の切り離しに合意。グアム移転費承認の条件の一つとして普天間移設の具体的進展を求めていた米議会の理解を取り付けた。
 グアム移転の遅れを批判し、12会計年度国防権限法で関連費を全額削除した上院軍事委員会のウェッブ上院議員(民主)は「沖縄の米軍基地問題の解決の失敗は15年にも及ぶ政治的議論になっており、迅速かつ賢明に解決することがアジア太平洋地域の安定に寄与する」と指摘。「海兵隊の拠点となるグアムの事業への支援に努める」と強調した。