伝統の登り窯20年 読谷山「北窯」あすまで陶器市


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20周年を迎え、115回目の火入れをする読谷山焼「北窯」の陶芸家たち=3日、読谷村座喜味

 【読谷】読谷村座喜味のやちむんの里内にある4工房の共同窯・読谷山焼「北窯」が20周年を迎えた。初窯火入れは1992年5月。3日には115回目の火入れをした。工房主の與那原正守さん(62)は「地域の人たちに支えられてここまで続けられた」、宮城正享さん(62)は「あっという間の20年だった」と振り返る。16日まで北窯と読谷山窯の「読谷山焼陶器市」が里内で開かれる。

 やちむんの里は、文化村構想を進める読谷村が米軍の不発弾処理場返還跡地に造った。北窯は、山田真万さんら4人の陶工でつくる読谷山窯で働く弟子4人が独立して造った読谷山焼の第2世代だ。県内各地でガス窯が普及するが、まきで火をたく伝統的な共同の登り窯にこだわり続けている。
 工房主の松田米司さん(57)は「共同窯は沖縄のゆいまーるや相互扶助精神が生きている。当初から4人で煙を上げ続けると決めてやってきた」と語る。
 工房主の松田共司さん(57)は「20年を迎えて皆さんに感謝している。平和な世でないと芸術活動はできない。それにはゆいまーるの心が不可欠だ」と話した。
 北窯の整備段階から支援を続けてきた安田慶造元村長(79)は「独り立ちをした今はほっとしている」と親心を見せ、「これからも多くの人に支えられる窯になってほしい」と語った。
 石嶺伝実読谷村長は「村づくりの中でも象徴的な役割がある。今後も沖縄の伝統技法を継承してほしい」と期待した。