社会

“沖縄の基地”米で出版 乗松さん「現状を海外に」

「RESISTANT ISLANDS」の著者の1人、乗松聡子さん。カナダから沖縄のニュースを英語で発信し続けている=琉球新報社

 沖縄の米軍基地問題を住民の視点で照らした本「RESISTANT ISLANDS」(抵抗する島々)が今夏、米国で出版された。著者は平和団体ピースフィロソフィーの乗松聡子代表と、アジアの記事や論文を載せるサイト「ジャパン・フォーカス」のガバン・マコーマック代表編集者。それぞれカナダとオーストラリアに住みながら、沖縄が抱える不条理を世界に発信している。

このほど来県した乗松さんは「沖縄の視点で基地問題を書いた英語の本はほとんどない。海外の人に現状を知ってもらいたい」と本に込めた思いを語った。
 東京都出身で海外在住の乗松さんが沖縄に関心を持ったのは2006年。カナダで開かれた世界平和フォーラムに参加した。質疑応答で沖縄出身の男性が手を挙げた。司会者から「時間がないので1分でまとめて」とせかされた男性は「沖縄のことは1分では話せない」と座り直した。重い空気が漂う会場で「そのときの私は沖縄のことをよく知らず、男性の発言がとても心に残った」という。
 09年の民主党政権誕生で米軍普天間飛行場のニュースが海外でも頻繁に流れるようになった。伊波洋一元宜野湾市長が海兵隊の海外移転を訴える姿をネットで見て「日本語だと日本人にしか届かない。英語で伝えるべきだと思った」。それまで接点のなかったジャパン・フォーカスに直談判し、英訳をサイトに載せた。
 乗松さんはそれ以来、沖縄のニュースをネット上で頻繁に発信している。来県のたびに基地や戦跡を回り、住民との親交も深めつつある。だが海外に住んでいると県民の声を知る機会がほとんどない。沖縄の苦闘を海外に伝えるべきだと考え、10年に本の出版を決めた。
 乗松さんは2年の執筆を通して「それまでの自分の平和運動がいかに偽善的だったかを知った」と話す。06年のフォーラムで発言した男性は、ヘリ基地反対協議会の大西照雄さんだと後で知った。「今にして思うと大西さんの怒りは当然。沖縄を知らずして平和運動ができるはずがない。今までの人生で何もしてこなかった分、残りの人生は沖縄のために尽くしたい」。今後も沖縄の声を発信し続けるつもりだ。(与那嶺路代)

英文へ→Book about U.S. military base issues in Okinawa published