戦中のはがき、遺族へ 米在住ガーナーさんが寄贈


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 【沖縄】約70年前、沖縄市泡瀬出身の元日本兵、桑江良文さんが同郷の知人に宛てた軍事郵便はがきが20日、遺族の元に戻った。

はがきを保管していた米ジョージア州在住のガーナー勝江さん(75)=旧姓新垣=からはがきを受け取った桑江さんの長女、隆子さん(65)=沖縄市=は「13年前に亡くなった父の命日が12月14日。はがきが戻ってきたことに意味を感じている」と感慨深げに語っていた。
 ガーナーさんは西原町出身。米兵と結婚し、1965年に沖縄を離れた。約20年前、元米兵を兄に持つ知人女性からはがきを託されたという。
 47年ぶりの初帰郷に際し、親類の中城村議、新垣博正さん(51)を通じて関係者捜しを依頼。沖縄市史編集担当の調査で、隆子さんらの所在が判明した。
 沖縄市役所で行われた贈呈式ではがきを受け取った隆子さんは「最初は半信半疑だったけれど確かに父の文字だ。大切に保管していてくれたことに感謝している」と語った。ガーナーさんは「帰ってきて良かった。桑江さんに会えてうれしい」と喜んでいた。
 はがきは、軍艦名取四分隊に所属していた桑江さんが当時の美里村泡瀬に住んでいた新垣康明さんに送ったもの。「今度海南島攻落作戦に参加する事が出来ました」と記されており、日本軍が中国・海南島を攻めた1939年に書かれたものとみられる。
 桑江良文さんは14年生まれで戦後、美里村議を務めた。新垣康明さんは1881年生まれで教員を務めたほか海外移住を経験した。桑江さんは1999年、新垣さんは1950年に他界している。

英文へ→Wartime postcard returned by Okinawan-American

ガーナー勝江さん(前列左から2人目)からはがきを受け取った桑江隆子さん(前列左端)ら=20日午後、沖縄市役所
ガーナー勝江さんが保管し、桑江隆子さんの元に戻った軍事郵便はがき