「海外に行ってみたい」という夢を持つ障がい者を応援する「FLY ANAY!(フライ・アナイ)プロジェクト」の第1期派遣者として、生まれつき脳性まひの障がいがある比嘉美紀さん(25)=沖縄市=が2月28日から1週間、フィリピンを訪問する。ホームステイや現地の障がい者との交流プログラムが予定されており、初の海外旅行を目前に期待に胸を膨らませている。
「世界中の人と仲良くなりたい」という夢を持つ美紀さん。大学では英語学習に情熱を注いだが「障がいがあるのに、なぜ福祉じゃなくて英語を学ぶの?」と聞かれることが度々あり、周囲と自分の思いとのギャップに歯がゆい思いを抱いていた。
卒業後も語学を生かせる仕事がなかなか見つからず、悩んでいた美紀さんの背中を押したのが同プロジェクトの現地コーディネーターを務める曽田夏記さん(28)=フィリピン在住=だった。曽田さんも身体に障がいを持ち「将来に絶望した」ことがあったが、周囲の支援を受けて開発途上国で働く夢をかなえた。「障がいがあっても社会のサポートがあればできることはたくさんある」との思いから、美紀さんにプロジェクトへの参加を呼び掛け、今回派遣が実現した。
派遣中、美紀さんの希望で、日本人サポーターの他に現地の介助者が付き添う。コミュニケーションは全て英語。「自分の思いがどれだけ伝わるか、挑戦してみたい」と瞳を輝かせる。「障がいがあっても、海外に行きたいという夢を持っている人はたくさんいる。その人たちが希望を持って挑戦するきっかけになればいい」と力を込めた。
「FLY ANAY」とは、フィリピン語で「まずは飛んでみよう」という意味。同プロジェクトは海外に出ることを夢見る18歳から25歳までの障がい者のサポートを目的に、青年海外協力隊経験者で結成する「NPO法人レキオウイングス」と、フィリピンの「イロイロ障害者協会」が昨年6月に設立した。現在、介助料や同行サポーターの旅費に充てる支援金を受け付けている。