御絵図柄、上布で復元 「宮古織物」シンポ・展示会


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 【宮古島】宮古上布など、宮古に伝わる織物文化について考える展示会とシンポジウム「宮古の織物文化~未来へ向かって~」(主催・宮古の織物文化研究協議会など)が2、3の両日、宮古島市中央公民館で開かれた。

 文化庁の「文化遺産を活かした観光振興・地域活性化事業」の一環として行われた。宮古島市では、宮古の織物文化研究協議会に参加している宮古織物研究会、宮古上布保持団体、宮古苧麻積み保存会の3団体が2010年度から3年間、同事業に取り組んできた。
 展示会では、宮古上布保持団体による琉球王朝時代の貢納布「御絵図柄」の宮古上布の復元や、宮古苧麻積み保存会による苧麻(ちょま)の系統別特徴の研究、宮古織物研究会による地機の研究など、各団体の3年間の研究の成果が披露された。
 3日のシンポでは宮古の織物文化の未来についてパネルディスカッションが行われた。宮古織物事業協同組合の上原則子専務理事は「十字がすりを継承しなくてはと思っているが、糸が足りずに織れない。後継者育成事業で育てた若手も、糸がなくて織れずに離れていく」と指摘した。
 また、日本きもの学会常任理事や日本染織文化協会副会長を務める富山弘基氏は、宮古上布はフォーマルでないという認識があるとして「安い西陣織がフォーマルで、なぜこれだけ手のかかった宮古上布がフォーマルではないのか。私からしたら誤った認識で、払拭(ふっしょく)しなければならない」と話した。
 また、宮古上布を本流として残すためにも、絹糸などを使った織物を脇役としてそろえ、産地ブランドを高めるべきだと提案した。

復元された「御絵図柄」の宮古上布に見入る来場者ら
宮古上布の未来について話し合う参加者ら=3日、宮古島市中央公民館