被養護者や里子、沖縄大が支援 4年間授業料全額免除


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沖大児童福祉特別奨学生制度

 沖縄大学(加藤彰彦学長)は28日までに、児童養護施設の利用者や里子ら社会的養護が必要な若年者を対象にした「沖縄大学児童福祉特別奨学生制度」を新たに創設した。来年4月からの入学者が対象で、同大学の推薦入試に合格した若干名に対して、授業料を4年間全額免除する。県内の国公立・私立大学で社会的養護が必要な若年者を対象にした奨学生制度を創設したのは初めて。

 県里親会や児童養護施設の関係者は喜ぶ一方で「沖縄大学を突破口に、他の大学でも同様の制度が広がってほしい」と制度の波及に期待を寄せている。
 県外では山口県の山口福祉文化大学が同様の奨学制度を設けているが、授業料の全額免除は2年次まで。沖縄大によると、4年間の授業料全額免除は全国的にも珍しい。
 児童福祉法では、児童養護施設で暮らす子どもたちや里子は、高校卒業と同時に自立とみなされ、基本的に施設への措置、里親委託が解除される。 
 子どもたちの中には大学進学などに伴う費用が準備できず、進学を諦める人が多いという。また県児童養護施設協議会が2005年にまとめた調査報告書では、九州・沖縄8県の児童養護施設で、大学などに進学した人のうち、生活苦を理由に46%が中途退学しており、進学後も学費の負担が課題になっていた。
 加藤学長は「勉学したくてもできない方々の希望に応えたかった。社会的に厳しい状況にある学生が学ぶことは、他の学生にとっても社会の一面を知る機会になる」と意義を強調した。
 奨学生への応募資格は児童養護施設などの推薦があり、4年間の成績が維持できることを高校の校長が推薦する人。2年次以降は年間30単位以上の取得や履修科目の成績が5段階で平均2・5以上を資格継続の条件としている。
 県里親会の當山清彦会長は「里親が里子の進学費用を負担してきたケースが多かった。授業料免除は非常に心強くうれしい。子どもたちの励みになり、里親も自信を持って進学を応援できる」と喜んだ。県児童養護協議会の島袋朝久会長は「進学を希望しても諦める子も多かったので念願の制度だ。沖縄大学に感謝している。子どもたちが夢を持てるよう他大学にも広がってほしい」と望みを託した。(高江洲洋子)

英文へ→Okinawa University offers fees waivers for foster care students