式典強行は「問題」 歴史学研究会が反対声明


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 サンフランシスコ講和条約が発効された1952年4月28日を「主権回復の日」として、政府が28日に記念式典を開くことに対して、学術団体の歴史学研究会(池享委員長)は「県民の声を無視して式典を強行する政府の対応には、深刻な問題がある」として、1日付で式典開催に反対する声明を発表した。

 声明は歴史学研究会会員約2千人のうち、約30人で構成する委員会が3月29日に審議し、1日付で文案をまとめた。
 講和条約について(1)調印形式や構成国に問題(2)日本の戦争責任・戦後責任問題をあいまいにさせた(3)沖縄などを切り離した「主権回復」だった(4)日米安保体制を軸とした対米従属の源流(5)発効に基づく日本政府の旧植民地出身者への差別的政策―といった問題点を指摘する。
 式典に関しては「占領期を『主権喪失』の時期と位置付けることで、憲法改悪と教育への政治介入を進めていく狙いがある」とし、安倍内閣に抗議し開催に反対している。
 3月の委員会審議に参加した大門正克横浜国立大教授は「式典は、サンフランシスコ平和条約がアジアや沖縄の人々に多くの負担を与えたことを全く無視するものだ。こうした認識を正すためにも会で声明を出す必要があった」と意義を強調した。