漁業者、見直し訴え 日台漁業協定説明会


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 水産庁の本川一善長官は19日来県し、那覇市の県水産会館で沖縄本島の漁業者約50人に日台漁業協定の内容を説明した。台湾漁船の監視体制強化や漁具被害の補償などについても言及したが、漁業者らは「頭越しの合意」「漁場がなくなる」「台湾漁船を取り締まれるのか疑問」など強く反発。合意内容の見直しや徹底したルール作りを求める声が上がった。

 水産庁は「(合意で)ルール作りについて話し合いをする場ができた。皆さんの意見を踏まえて交渉に臨みたい」と説明。台湾漁船の監視体制については、現在沖縄全域で5隻を配備している漁業監視船を、クロマグロの最盛期は10隻に増やし、さらに水産庁が保有する1500~2千トン級の艦船も配備するとした。
 そのほか漁具被害発生時や、事故時に連絡が取れる衛星電話の設置補償などを約束。地元漁協と連携した外国漁船の操業状況調査や、日本と台湾でルール作りをする「日台漁業委員会」に沖縄の漁業関係者を入れることも検討するとした。
 一方、漁業者らは合意に至るまで全く説明がなかったことに対し「みんな怒っている」と批判。本島東側を中心に広がる米軍訓練水域についても触れ「漁場が今よりもなくなる」と不満をあらわにした。今後、具体的な見直し案の作成も視野に入れ、抗議を続ける。
 本川長官は久米島町議会が22日にも抗議決議を可決することを受け、21日に久米島でも説明会を開催することを急きょ決定。さらに漁業者から「漁に出ていてみんな参加できていない」との声を受け、5月上旬の連休中に再度来県することを約束した。
 県漁業協同組合連合会の国吉真孝会長は「監視船の増加は大変良いこと」としながらも、「われわれは無視されて意見が反映されなかった。(合意の)見直しを求めることは変わらない」と述べた。
 本川長官は説明会に先立ち、県庁を訪れ、高良倉吉副知事と面談した。

日台漁業協定の内容説明に耳を傾ける沖縄本島の漁業者ら=19日、那覇市の県水産会館
日台漁業協定の内容を説明する水産庁の本川一善長官