魂 震わせる民族の記憶 桜坂アサイラム台湾スタイル


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 那覇市の桜坂周辺を舞台に、音楽やアートが集結する“町フェス”「サクラザカ・アサイラム2013-台湾スタイルTCMウィーク」が7月27、28両日、桜坂劇場などであった。

台湾の角頭(ジャオトウ)音楽と協力し、先住民たちの民族音楽をベースにしたアーティストが多数参加。沖縄、日本の音楽家やファンと交流を深め、土地の記憶が鮮やかなメロディーとともに交錯するアート空間を生み出した。
 台湾から東部先住民の音楽に即興を交えたスタイルで人気の陳建年(Pau-dull)や、東部プユマ族のボーカルユニット南王姐妹花(ナンワン・シスターズ)らが出演した。
 巴奈(パナイ)&Messageは子のために身を粉にして働く母親を歌う「レモンの花」などを演奏。ギターの静かなメロディーに巴奈が民族の記憶を背負い、魂を震わせる歌声を乗せる。Messageのメンバーが地の底から響くような声の調和を聞かせ、エイサーも踊って会場を沸かせた。
 最終日はタテタカコらのコラボレーション。タテが力強いボーカルで輪郭を描き、element of the momentがスイング感に満ちた演奏で彩りを加える。オトエホンが描く絵がスクリーンに映し出され、即興で合作する芸術作品が聴衆のイメージをふくらませる。
 最後は台湾のミュージシャンを含め、出演者が舞台に登壇して「太巴〓朗之歌」を合唱して締めくくった。(宮城隆尋)

※注:〓は「朗」の下に「土」

民族の記憶を背負い、魂を震わせる声で涙を流しながら歌う巴奈(Panai)=7月28日、那覇市の桜坂劇場
周辺店舗の壁面に映像を投影するウォールプロジェクション。雑貨市やワークショップなどとともににぎわった=7月28日、那覇市牧志
日本、沖縄、台湾の出演者が登壇し、声を合わせたオールエンディング=7月28日、桜坂劇場