在沖米海兵隊、カリフォルニア移転を 米専門家「軍事戦略上矛盾せず」


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 【米ワシントン=島袋良太本紙特派員】米日研究インスティテュート、米有力シンクタンク・ブルッキングス研究所は5日、ワシントン市内で日米安全保障に関するシンポジウムを開いた。米軍普天間飛行場返還・移設問題について、日米の外交当局者は辺野古移設を推進する立場を重ねて表明した。

 一方、ブルッキングス研究所のマイケル・オハンロン上級研究員(安全保障・外交)は、辺野古移設計画と在沖海兵隊のグアム移転計画は実現性が不透明で、費用もかかる-と指摘。有事展開に備える事前集積艦を日本の港に配備した上で、在沖海兵隊の約半数を米カリフォルニア州へ移転する案を提言した。
 オハンロン氏は在沖海兵隊の既存の運用計画について、緊急展開時には日本本土(長崎県佐世保)に停泊する強襲揚陸艦と行動を共にする点を説明。日本に事前集積艦を新たに停泊して装備を前方配置し、危機の際にはカリフォルニア州から海兵隊員を送り込めば、沖縄駐留に比べて緊急展開能力は落ちないと分析した。その上で「軍事戦略上も矛盾せず、辺野古案よりコストも安く済む。沖縄の人にも日本の人にも受け入れられるだろう」と強調した。
 ズムワルト米国務副次官補は辺野古移設について、「地元住民に対する影響を低減できる」と強調し、安倍晋三首相が推進する姿勢を明確にしていることを「非常に喜んでいる」と述べた。その上で「日本政府は沖縄の当局者と非常に密接に働いている。進展に期待している」と話した。
 佐々江賢一郎駐米大使は辺野古移設をめぐる現在の状況は「困難であり、まだ中途にある」とした上で、「われわれが向かっている方向は基本的に正しい。われわれは米議会とも米政府とも対話し、沖縄ともさらにコミュニケーションを取ろうと努めている。前進できるだろう」と述べた。