訓練が激化 負担倍増 オスプレイ配備1年


社会
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普天間飛行場に駐機する米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ=30日午前、宜野湾市の同飛行場

国「有益性」を強調/不信の県、運用再調査へ
 米軍普天間飛行場への垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの配備から1年を迎えた。30日、オスプレイと交代されたCH46ヘリの解体作業を公開した海兵隊の司令官は「オスプレイへの移行に向けた歴史的な飛行がなされた」と誇示し、24機態勢に増えたオスプレイの本格的な運用が始まることを示唆した。日本政府はオスプレイの「有益性」を強調し、沖縄を拠点に全国に運用を拡大させていく姿勢を強めているが、県内では安全性に対する強い懸念が依然渦巻いている。

 8~9月の追加配備12機を含めたオスプレイの本格運用に入りつつある米海兵隊は、今後全国に訓練を広げる見通しで、防衛省は県内で実施されている訓練の一部を本土に移転する作業を加速化するとしている。今月、滋賀県や高知県で行う自衛隊と米軍の共同訓練でオスプレイを使用し、全国にその安全性をアピールする意向だ。

 ■「象徴」
 さらに政府は災害対処や島しょ防衛に有益だとして2015年度に自衛隊へのオスプレイ導入を目指している。オスプレイを日米同盟の「象徴」とすることで県内の根強い配備反対論を薄めていく思惑もある。
 防衛省幹部は「米軍も相当オスプレイの運用には、気を遣っている。日米合意を守るよう日本側も随時、申し入れている。訓練を重ねることで有益で安全な機体であることを理解してもらうしかない」と話す。
 だが県内では県議会や全市町村、議会など「オール沖縄」の反対にかかわらず、またも配備が強行され、オスプレイが24機に「倍増」したことへの反発は収まる気配がない。
 開会中の県議会で県の又吉進知事公室長は24機態勢となったことについて「(住民の)負担が増大する」と強調した。県幹部は「国はただの機種交代だと言うが、負担増につながるのは明らか。住民はさらに不安に思っている」と県内の雰囲気を解説する。

 ■事故多発
 この1年間、県はオスプレイの事故が多発している事実を問題視し、市町村と連携して日米合意に違反した飛行の目視調査などを実施。政府に異例の質問書まで提出し、安全性を徹底的に追及してきた。
 県が市町村と連携して昨年末に指摘した日米合意違反の飛行318件について、政府は追加配備が目前となった今年7月末になりようやく見解を示したが、「違反は確認できない」と一蹴。県民が納得できる回答にはなっておらず、県側は「最初から安全だとの前提に立っている」(幹部)と不信感を募らせる。
 安全性への説明を求める県と、防災や尖閣問題などと結び付けた「有益性」から配備に理解を迫る政府との距離は埋まらないが、県は市町村に対し、オスプレイの運用実態をあらためて確認するよう再度協力を呼び掛けている。
 今後の対応について又吉公室長は「オスプレイの運用をもう一度注視したい。国に説明を求め続けていくことが重要だ」と気を引き締めるように語った。
(池田哲平、問山栄恵)