米軍機騒音に条例を 平和学会、琉大で取り組み報告


社会
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沖縄平和学会年次大会で「平和運動と平和教育」について議論する研究者ら=20日午後、西原町の琉球大学

 沖縄平和学会(高良鉄美会長)の年次大会が20日、西原町の琉球大学で開かれた。「危機の時代の研究と運動」と題した報告で、渡嘉敷健琉球大准教授は米海兵隊の輸送機MV22オスプレイが発する低周波音が人体に与える影響について言及。「国が検証せずにオスプレイが配備されたことは問題だ」と指摘し、米軍機の騒音被害に歯止めを掛ける条例の制定を求めた。

 沖縄・生物多様性市民ネットワークディレクターの河村雅美さんは、沖縄市のサッカー場で見つかった米軍遺棄とみられる高濃度汚染のドラム缶問題に触れ、国や沖縄市の調査結果を検証した取り組みを紹介。「汚染実態が浮き彫りにされつつある」と強調し、市民参画や情報公開を基にした「クロスチェック」の制度化を提言した。
 日本鱗翅(りんし)学会自然保護委員の宮城秋乃さんは、東村高江の米軍ヘリパッド建設について「誰が見ても自然破壊」と批判した上で「政治問題でもあるために研究者が関わりたがらない」と実情を吐露。「研究者が増えれば調査の量も発見も増えてくる」と話し、環境保護に研究者が積極的に関与するよう訴えた。
 大会参加者は、沖縄戦の実相を個別事例を基にどう浮かび上がらせるかや、戦争体験をどう継承していくかについて市町村史や証言集の編集者の報告を通して考えた。糸満市教育委員会の加島由美子さんは体験者約3万7千人に戦災調査したことなどを紹介し「小さな事実の積み重ねが沖縄戦の本質に迫る作業だったと思う」と話した。
 大会は「平和運動と平和教育」をテーマに、活発に意見を交わした。
英文へ→Peace Studies Association of Okinawa demands that U.S. government regulate military aircraft noise