文科省の教科書改革 「愛国心」なしは不合格


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 【東京】下村博文文部科学相は15日の記者会見で、小中高校の教科書検定基準と教科書無償措置法を見直し、「愛国心を育む」などとした教育基本法(教基法)の趣旨を徹底するための「教科書改革実行プラン」を発表した。教基法の目標に照らし、重大な欠陥があると判断した教科書は不合格にすることを検定基準に明記する。戦時中や戦前の日本に対する「自虐史観」を排除する狙いがあるとみられる。

日本軍が強制したとされる沖縄戦の「集団自決」(強制集団死)への影響については「個別具体的な事例について言及することは控えたいと」と述べた。
 下村氏は「現在の教科書は教基法の趣旨にのっとっていないと指摘される教科書もある」と指摘。全教科で愛国心を養うなど教育基本法の趣旨を生かすため、検定申請時に教科書会社が編集方針をまとめて文科省に提出する書類に、どの程度、教基法の趣旨を反映しているかも明示させることを明らかにした。
 八重山教科書問題をめぐり、地方教育行政法(地教行法)の見直しも議論されていたが、下村氏は「まずは最小限に、無償措置法の中の共同採択のルールを明確化する」と述べ、採択地区協議会で同一の教科書採択を義務付ける考えを示した。地教行法は今後、教育委員会改革制度改革の中で改定し、教科書採択を教育長の権限とする方針。
 教科書検定基準の改定は(1)通説的な見解がなかったり、特定の見解を強調したりしている場合にバランスの取れた記述にする(2)政府見解や確定判例がある場合の対応を規定する―との内容。検定不合格の要件に「教基法に照らして重大な欠陥がある場合」と明記する。
 今回の改定は自民党の教科書検定の在り方特別部会の「中間まとめ」に沿ったもの。