県連へ容認圧力 「普天間」辺野古移設


社会
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◆自民、ねじれ解消狙う/埋め立て承認“外堀”固めへ
 米軍普天間飛行場の県外移設を掲げる自民党県連に党本部が圧力を強めている。名護市辺野古移設の日米合意を推進する党本部は、移設に必要な埋め立て申請への仲井真弘多知事の判断を前に、県連との政策のねじれを解消させ、知事の埋め立て承認に向け“外堀”を埋めたい考えだ。18日には石破茂幹事長が翁長政俊県連会長と会い、移設容認に翻意を促す方針だ。翁長会長ら県連役員は菅義偉官房長官、外相、防衛相とも会談する。

■約束?
 「県連は参院選後には県内移設に変えると言っていたんだ」。県外移設公約を見直さない県連に対し、党本部周辺ではこうした意見がいらだちまじりに語られている。7月の参院選前に石破氏らとの政策協議で、県連幹部が翻意をほのめかしていたという見立てだ。
 これに対し翁長氏は「あり得ない」と強く否定する。別の県連幹部は「選挙後には方針見直しの議論が出てくることは想定できた。それが都合よく解釈されたのでは」と指摘した。
 県連は当初10月上旬までに行うとしていた移設問題に関する本部側との協議をいったん見送っていたが、石破氏からたびたび協議を持ち掛けられていた。先延ばしできない状況が徐々につくられていった。

■高村氏が指示
 今月1日、都内のホテルで始まった県連所属国会議員「かけはしの会」の会合で、会長の西銘恒三郎衆院議員は「党籍に関わる問題。離党勧告もあり得る」と述べ、「県外移設」を堅持する国場幸之助、比嘉奈津美、宮崎政久の3氏に党の方針に従うよう迫り、「結論は20日までに」と期限を区切ったという。
 西銘氏と同じく辺野古容認に姿勢を転換させた島尻安伊子氏は本紙の取材に対し「(公約撤回が)楽になるとは言っていない。苦渋の決断が求められるが、危険な飛行場を固定化させてはいけない」と強調した。
 関係者によると西銘氏に離党勧告を示唆するよう指示したのは高村正彦副総裁。高村氏は「民主党と同じではいけない」と強調し、県連との対話を重視してきた石破氏の対応に批判的な姿勢を示してきた。
 高村氏に同調するように首相官邸に近い竹下亘衆院議員、高市早苗政調会長、野田聖子総務会長ら複数の党幹部も沖縄の3氏に「党に従わなければまずいことになる」と翻意を促しているという。
 一方、首相官邸も名護市長選で移設容認派の候補者を一本化できないことにもいらだちを募らせており、菅官房長官らがさまざまな形で県選出議員や県連に方針転換を迫っている。党関係者の一人は「空気は確実に変わっている。もう一息だ」と腕をさすった。(新垣和也、松堂秀樹)