「軍事植民地終結を」 海外識者ら声明発表


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海外識者・文化人らの声明骨子(クリックで拡大)

 【米ワシントン7日=島袋良太本紙特派員】米国やオーストラリアなどの世界的に著名な文化人や識者ら29人が7日(日本時間8日)、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を中止し、即時返還を求める共同声明を正式に発表した。

明治政府による琉球処分(併合)や住民の4人に1人が犠牲となった沖縄戦、戦後の米統治などの歴史に触れた上で、国土面積の0・6%の沖縄に在日米軍専用施設の73・8%が集中する現状を指摘。基地の存在で県民が犯罪や騒音、環境破壊などの被害を受け続けていることを挙げ、辺野古移設に「沖縄の人々の苦しみを恒久化させることにもつながる」と反対している。
 声明の呼び掛け人には言語学者のノーム・チョムスキー氏、アカデミー賞受賞の映画監督オリバー・ストーン、マイケル・ムーアの両氏、ノーベル平和賞受賞者のマイレッド・マグワイア氏、ピュリツァー賞受賞者のジョン・ダワー氏ら29人が名を連ねた。
 声明では県民は戦後、米国の独立宣言が否定する「権力の乱用や強奪」に苦しんできたと指摘。米国の20世紀の公民権運動を引き合いに、県民は「軍事植民地状態を終わらせるため非暴力の闘いを続けてきた」と紹介した上で、「平和と尊厳、人権と環境保護のために闘う県民を支持する」と表明した。
 さらに約10万人が結集した県民大会などの大規模集会、基地を囲む「人間の鎖」行動、県議会による辺野古移設反対決議、全市町村の首長が賛同してオスプレイ配備撤回や県内移設断念を政府に求めた「建白書」の提出など、県民があらゆる民主的手続きで県内移設などに反対の意志を示してきた事実を挙げた。
 その上で「辺野古の海兵隊基地建設は中止し、普天間は沖縄の人々に直ちに返すべきだ」と結んでいる。
 声明発表を受けて8日、全国紙や通信社、テレビ局などが内容を報じた。声明を発表した文化人、識者グループは今後も賛同を広く募るとしており、反響が広がりそうだ。