1トン不発弾、現地処理 住民避難「戦争思い出す」


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処理現場からクレーンでつり上げられる不発弾=26日午前11時10分ごろ、糸満市喜屋武(諸見里真利撮影)

 【糸満】昨年12月に糸満市喜屋武で見つかった米国製1トン級不発弾の現地処理が26日午前9時35分に始まり、同10時33分に終了した。避難半径は1キロと広範囲に設定され、喜屋武集落の177世帯、480人が避難対象となった。

避難場所の喜屋武小学校体育館には高齢者を中心に約50人が避難した。お年寄りの中には「戦争を思い出した」とため息をつく人もいた。
 不発弾は、県水産海洋技術センター東方約230メートルの原野で、磁器探査中に発見された。長さ約180センチで、直径は約60センチ。陸上で1トン級不発弾が見つかったのは県内では23年ぶり。国内で発見される不発弾の中では最も重い。
 自衛隊が不発弾の前後にある二つの信管を抜いて処理作業を終えると、住民らはほっとした表情で帰路についた。避難していた前原八重さん(91)は沖縄戦中、赤ちゃんを抱いて集落周辺を逃げ回ったという。「(戦争の記憶は)心の中にいっぱいある。忘れかけていたことを思い出した」と話した。亀甲八重子さんは(66)は「あと何年こんな状態が続くのだろう。喜屋武ではまだまだ(不発弾が)出てくるだろう」と述べた。