新基地認めない 県内外識者65人、移設断念求め声明


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辺野古への新基地建設断念を求める緊急声明を発表する県内有識者ら=27日、県庁

 県内の有識者やジャーナリストら65人が27日、名護市長選で稲嶺進市長が再選されたことを受け、米軍普天間飛行場の辺野古移設断念と早期閉鎖を求める緊急声明を発表した。移設方針を変えない日米両政府に対し、沖縄の声を尊重するよう求め、「選挙結果は名護市民だけでなく、沖縄の人々の新たな基地は要らないという態度の表明だ」と訴えた。

 声明を提案した政治学者の宮里政玄沖縄対外問題研究会顧問らが27日、発表した。県内の憲法、政治学者らを中心に県外の研究者も名を連ねており、安倍晋三首相やオバマ米大統領、ケネディ駐日米大使宛てに同日付で送付した。
 宮里氏は「辺野古の基地はほぼ恒久的なものだ。認めるわけにはいかない。米国や日本本土のように沖縄にも公平な扱いを受ける権利がある」と訴えた。
 県内41市町村長らが上京し、安倍晋三首相に県内移設断念の「建白書」を提出して1年がたつことに関し、桜井国俊沖縄大教授は「沖縄のことは沖縄で決めるという点で一致し、オール沖縄を再構築しなければならない」と強調した。我部政明琉大教授、屋富祖建樹琉大元教授、屋富祖昌子沖縄人権協会理事が同席した。

<辺野古断念と普天間早期閉鎖を求める緊急声明>
 県内有識者らの緊急声明は次の通り。
 安倍晋三首相宛て
 バラク・オバマ米国大統領およびキャロライン・ケネディ駐日米国大使宛て
 辺野古への新基地建設計画を断念、普天間飛行場を早期閉鎖せよ
 2014年1月27日
 1月19日に投開票された名護市長選挙の結果は、名護の市民だけでなく沖縄の人々が沖縄に新たな基地は要らないという態度の表明である。選挙結果は、普天間飛行場の移設先を沖縄県内ではなく、県外に求める声が沖縄の民意であることをあらためて確認したといえる。
 この沖縄の声は、普天間飛行場の閉鎖と移設を表明した1996年3月の日米合意以来、沖縄が一貫して求めてきたことである。たとえ、当時の稲嶺恵一沖縄県知事、あるいは岸本建男名護市長らが沖縄県内での移設を容認しようとした時でさえ、条件を提示し、条件を満たさないときには容認できないとしていた。
 なぜ普天間飛行場を閉鎖することに日米両政府が合意したのか。同飛行場が住宅地の真ん中に位置し、離発着の度に周辺に暮らす沖縄の人々の頭上を飛行せずには飛行場として機能しない深刻な危険性をもっているからである。今なお、危険な現状は何ら変わっていない。同飛行場のもつ危険性は、2004年8月に沖縄国際大学のキャンパスに米軍ヘリが墜落したことにより、あらためて浮き彫りになった。
 この18年の現実は、危険な普天間飛行場を狭小で既に米軍基地が過密である沖縄県内に移設できる場所がないことを示し、沖縄の人々が同計画に対し一貫して賛同してこなかったことを示している。この名護市長選挙は、沖縄県内に移設先を求める日米両政府の計画が現実性をもたないことをあらためて示しているのである。
 稲嶺進名護市長の再選で明確に示された名護市、沖縄の米軍新基地建設反対の民意を無視して日米両政府が埋め立てなどの新基地関連手続き、工事を強行することは、沖縄を混乱に陥れるだけでなく、日米関係に深刻な支障をきたすことになる。ひいてはアジア・太平洋地域の平和と安定に悪影響を与えるおそれがある。
 私たちは日米両政府に対し、以下、要求する。
(1)日米両政府は名護市辺野古における新基地建設計画を断念せよ。
(2)普天間飛行場の機能を代替する新基地建設に向けての埋め立て手続き、関連工事は取りやめよ。
(3)普天間飛行場を早期閉鎖し、土地を返還せよ。
 また、日米両政府に対し、18年前に合意しながらも放置してきた危険な普天間飛行場の閉鎖までの間、至急対処すべき事項の実施を、以下、求める。
(1)普天間飛行場での航空機の離発着を、現行より大幅に削減すること。
(2)普天間飛行場及び他の米軍基地の予定される返還に備えて、環境調査のための基地内への立ち入り調査が行えるようにすること。
(3)将来に向けた沖縄の環境保全のための調査として、沖縄に建設されたすべての米軍基地において立ち入り調査が行えるようにすること。
 新垣修、安良城米子、新崎盛暉、石原昌家、井端正幸、稻正樹、今村元義、上里賢一、浦田賢治、浦野広明、小栗実、上脇博之、我部政明、加藤彰彦、加茂利男、木村朗、来間泰男、古関彰一、小松浩、小森陽一、桜井国俊、佐藤学、島袋純、清水雅彦、瀧澤仁唱、高作正博、高里鈴代、高嶺朝一、高良鉄美、武居洋、千葉眞、照屋寛之、中島正雄、仲地博、永山茂樹、成澤孝人、西川潤、西谷修、比屋根照夫、星野英一、前原清隆、前田達男、前田哲男、真栄里泰山、又吉盛清、松井裕子、三木健、水島朝穂、宮城公子、宮城内海恵美子、宮里昭也、宮里政玄、宮田裕、宮本憲一、三輪隆、村田尚紀、森英樹、山口和秀、屋富祖建樹、屋富祖昌子、山口剛、屋良朝博、萬井隆令、若尾典子、若尾祐司(五十音順)
 以上を代表して
 宮里政玄、桜井国俊、我部政明
英文へ→Scholars and journalists issue statement: Japan and the United States should abandon building a new US base in Henoko