基地集中「差別でない」 島尻氏「反対運動対策」で説明


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島尻 安伊子氏

 【東京】5日の参院予算委員会で米軍普天間飛行場の移設反対運動に事前に対処すべきとの考えを示した自民党の島尻安伊子氏は、取材に対し発言の真意を説明し、「米海兵隊のプレゼンス(存在)自体が抑止力であり、沖縄に必要だ」と述べ、早期に辺野古移設を進めることが重要との認識を強調した。

 一方、沖縄への米軍基地の集中について「構造的差別」との指摘があることに対しては、「差別には全く当たらない。本土と沖縄の間に誤解があれば解くべきだ」との見解を述べた。
 仲井真弘多知事が埋め立て承認の際に求めた5年以内の運用停止については、「実現のためにも早めに辺野古に移すべきだ」と辺野古移設が前提になるとの見方を示した。知事は運用停止までの間の県外移設を求める考えを示しており、知事の主張とは異なる。
 島尻氏は県外での訓練拠点設置を求めない理由について「辺野古の代替施設の存在意義が見えなくなる」と説明した。

◆親米色強い保守政治家
 島尻安伊子氏は1965年、宮城県仙台市生まれ。上智大新聞学科卒業後、証券会社を経て結婚を機に沖縄に移り住み、民主党公認で2004年の那覇市議補選で初当選したが、05年に離党。07年の参院選補選に自民、公明両党の推薦で出馬して初当選し、当選後に自民党入りした。
 普天間問題に関しては、10年参院選で「県外移設」を公約に掲げて再選されたが、内閣府政務官だった13年4月、参院予算委員会で県外移設の選挙公約を撤回し、辺野古移設を容認する考えを示していた。
 4人の子を持つ主婦として「台所から政治を変える」と、子育て支援策などの訴えで広く支持を集めて国政転出を果たしたが、政治的には親米色の強い、保守的な発言を続ける。
 内閣府政務官だった昨年は4月と8月に超党派議員連盟の一員として靖国神社を参拝し、「国のために尽くしたみ霊を敬うのは当然のことだ」と述べた。
 基地問題に関しては「東アジアの周辺環境は不安定さを増している。米軍のプレゼンス(存在)そのものが抑止力だ」などと主張。民主党政権下の10年参院選では翁長雄志那覇市長らの助言で県外移設を公約に掲げた経緯があるが、周辺に不満を漏らしていた。
 昨年11月には、他の県選出議員らが自民党本部から辺野古移設容認に転じるよう強く求められていたことに関し、妊娠時の「胎動」に例えて「難産になるかもしれないが、待望の子どもが生まれた時にはみんなでお祝いしてもらえる環境にしていきたい」と発言し、物議を醸した。
 党では平成研究会(額賀派)に所属。安倍政権が総力を挙げた名護市長選では、移設容認派候補者の一本化調整などで尽力し、菅義偉官房長官や石破茂自民党幹事長から高く評価された。