田原川再生へ始動 小菅氏講演「熱帯系」の特徴紹介


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講演する小菅丈治氏=10日、与那国町祖納の佐久川家

 【与那国】田原川を知り・守り・伝えるプロジェクト(主催・与那国いとなみネットワーク、共催・与那国町教育委員会、後援・資生堂)の第1弾として、「母なる川・田原~黒潮の仔をはぐくむ流れ」をテーマに、県立石垣青少年の家の小菅丈治氏による講演会が10日、与那国町祖納集落内にある古民家の佐久川家で行われた。

 自然環境保全活動として田原川を知り、守り、伝えることが目的で、約30人の住民が集まり、小菅氏の話に耳を傾けた。
 田原川は、島民の命の源で、昔から飲料水や洗濯場として使用され、大切な憩いの場でもあった。多様な水生動植物が生息していたが、近年、開発や過剰な生活排水などによる水質悪化が原因で、生息環境の変化により絶滅した動植物も多い。
 小菅氏によると、与那国島はフィリピン東方から北へ流れる黒潮が行き当たる場所にあり、海辺に生きるさまざまな生き物がプランクトン幼生として熱帯水域から黒潮に乗って運ばれ、同島の海辺にたどり着く。そのため琉球列島の他の島ではほとんど見られない熱帯系の貝が住むことが、この島の海岸生物の特徴だと説明した。(東濱リエ通信員)