島豆腐業界に“冷風” 業者は15年で2割減


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県内の豆腐製造業者の推移 ※厚労省「衛生行政報告例」より

 県内豆腐業界の経営環境が厳しさを増している。製造業者数は年々減少し、この15年間で2割が店を閉めた。熱熱の「あちこーこー」島豆腐への人気は根強いが、量販店では冷めた豆腐が売れ残り、製造者が引き取って廃棄せざるを得ないことも多く、経営の圧迫に拍車を掛けている。

こうした危機感から県豆腐油揚商工組合は22、23両日、「ニッポン豆腐屋サミットin沖縄」を那覇セントラルホテルで開く。業界の活性化や意識向上につなげたい考えだ。
 厚生労働省が許可を必要とする食品営業施設などをまとめた衛生行政報告例によると、1996年度の県内豆腐製造業は243店あったが、微減を続けて2011年度は206店、12年度には195店と200店を割り込んだ。
 近年は円安による原料の高騰が経費増に追い打ちをかけている。さらに4月からの消費税増税に向けた対応も迫られている。
 製造業者によると豆腐販売は、車を引いて近所を売って回る「引き売り」が原点。だが量販店の発達に伴い、スーパーなどに卸す形態も広がっている。
 あるスーパーの島豆腐のコーナーには時刻表が掲げられ、入荷するめどが分かるようにしている。豆腐が届けば店内に大きくアナウンスする店もある。
 業界を取り巻く環境について、ある業者は「卸に頼っていて消費者が見えなくなっている。今後は消費者に直接売る方法も模索していかなければならない」と話す。昔ながらの島豆腐だけでなく、本土のおぼろ豆腐など新たな商品開発への挑戦も始まっている。
 業界の活性化に向けて県豆腐油揚商工組合は、全国豆腐連合会が主催するサミットを誘致。今回が沖縄初開催となる。
 組合青年部長の池田食品(西原町)の瑞慶覧宏至社長は「全国には自分のブランドを守り、いい売り方をしている所もある。沖縄のブランドを見詰め直し、競争ではなく、自分たちの誇りを消費者に伝えるような商品づくりを考えていきたい」と参加を呼び掛けている。
 問い合わせは同組合(電話)098(834)3403。(滝本匠)