「中山王書翰」が国重文に 琉球・幕府の外交示す


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国の重要文化財指定が答申された「琉球国中山王書翰」(東京国立博物館所蔵)

 文化審議会(宮田亮平会長)は18日、「琉球国中山王書翰並貢物目録(りゅうきゅうこくちゅうざんおうしょかんならびにこうもつもくろく))」を国の重要文化財に指定するよう下村博文文部科学相に答申した。慶賀・謝恩使の派遣に関連して琉球国王(中山王)が江戸幕府の老中に宛てて出した手紙や献上品リストの計23通で、現在、東京国立博物館などで保管している。

同審議会は「琉球・幕府間の外交関係を示すとともに、両国間における儀礼上の変化を伝える書簡も含まれ、学術的価値が高い」と指摘した。
 答申があったのは、天和~享保期(17世紀後半~18世紀前半)に尚貞、尚益、尚敬の歴代国王が江戸幕府に出した書翰21通と、琉球使節から幕府への献上品を記した貢物目録2通。中山王書翰は、将軍の交代を祝う慶賀使や琉球国王の即位を報告する謝恩使を江戸に派遣する際のあいさつ文や事後のお礼状、また将軍が死去した際のお悔やみ文といった内容を含んでいる。貢物目録には泡盛や芭蕉布、龍涎香(りゅうぜんこう)(動物性の香料)などの献上品を記している。
 豊見山和行琉球大学教授(琉球史)は「保存状態の良い原本がまとまった形で残っており貴重だ。幕府は手紙を出す際の決まり事である『書札礼(しょさつれい)』として書の体裁や身分関係を厳しく規定しており、琉球側もその形式にのっとっている。江戸期の外交文書だが、朝鮮国王が将軍と書簡のやり取りをしていたのに対し、薩摩支配にあった琉球では、中山王と老中を対等の関係に置いていたことが分かる」と語った。
 文化審議会は今回、国宝1件、重要文化財50件の指定を答申した。「琉球国中山王書翰並貢物目録」は独立行政法人国立文化財機構が所有しており、東京都の文化財として答申された。
英文へ→Letters and lists of gift items sent by Ryukyu Kings to the Edo government recommended for inclusion in Important Cultural Properties of Japan