希少生物守ろう 国頭村 安田区、独自に規則


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
規則案を神山坦治区長(右から3人目)に答申する策定委員会の中根忍会長(同4人目)と委員会メンバー=1月30日、国頭村安田区公民館

 【国頭】国頭村安田区は1日、希少動植物の保護に向けた区の規則を施行した。相次ぐ希少動植物の密猟対策と、世界自然遺産登録に向けた啓発が目的。環境省によると、区独自で希少動植物や生態系保護に関する規則を定める例は全国的にも珍しい。

 規則は全15条で構成される。安田区内に生息する天然記念物や国、県のレッドリストのほか安田区が保護の必要があると定めた動植物を保護の対象とし、捕獲や採取の禁止、保全に向けた配慮などを定めている。安田区民と安田を訪れた全ての人が規則順守の対象者となる。今後は区内に看板などを設置し、規則の周知を行う予定だ。
 規則制定に向け、昨年10月に区の諮問で同規則策定委員会(会長・中根忍やんばるエコツーリズム研究所長)を設置。区民4人で構成した委員と、県エコツーリズム推進協議会の花井正光会長、環境省やんばる野生生物保護センターの山本以智人自然保護官、NPO法人どうぶつたちの病院の長嶺隆理事長の3人のアドバイザーで議論を重ね、今年1月に神山坦治区長に答申した。3月30日の区の評議会で可決された。
 山本自然保護官は「生物多様性を目標に掲げた規則の制定は画期的だ。やんばる全体の自然を守る重要な布石になる」と期待を寄せた。
 中根忍会長は「規則を作っても守らなければ壊れていく状況にある。県民にモラルを守ってほしい」と呼び掛けた。