「後世に歴史伝えて」 元沖縄市長・新川さん、父の石工道具寄贈


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東門美津子沖縄市長(右)に石工職人の道具一式を寄贈する元沖縄市長の新川秀清さん=3月28日、沖縄市役所

 【沖縄】元沖縄市長の新川秀清さん(77)=沖縄市山里=が3月28日、沖縄市役所に東門美津子市長を訪ね、戦前から戦後にかけて石垣や墓などを造る職人「石工」(イシジェーク)の道具一式を寄贈した。

新川さんは「石工が沖縄の伝統的な石の建造物を造ってきた。後世にこの歴史を伝えてもらいたい」と話した。
 寄贈品は、石工として1980年代まで従事していた父・秀栄さんが、生前に使用していた仕事道具。石を削り表面を整える「ユーチ」と呼ばれるおのや、石を割るために石に打ち込むくさび「イヤ」など約30点が寄贈された。道具は、硬い石を加工するため、刃先は鋭く研がれた鉄が使用されている。
 本土復帰後に石加工の機械が普及してから、石工職人は見掛けられなくなった。沖縄市立郷土博物館によると、秀栄さんは「市内で最後の世代ではないか」という。
 道具は、同市上地の博物館に保管され、5月末開催の展示会で一般公開する予定。
 東門市長は「伝統的な道具が使われていたことを次世代にきちんと伝えたい」と礼を述べた。