「集団自決」3冊記載 来春の小学社会科教科書


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 【東京】来春から使用する6年生の社会科教科書で沖縄戦の「集団自決」(強制集団死)に関する記述が4社6冊中、現行の東京書籍、日本文教出版、教育出版の3冊で引き続き記載された。

学童疎開船「対馬丸」の紹介は2冊から1冊になったが、3冊がひめゆり学徒隊の記述を盛り込むなど、沖縄戦に関する記述は前回の2009年度検定と同程度になった。「集団自決」について記述した3冊とも軍の関与には触れていない。
 「集団自決」をめぐっては、07年3月の高校歴史教科書検定で「日本軍の強制」を示す記述が削除・修正されたことを受け、検定意見撤回を求める県民大会が開かれた。小学校社会はこれまでの教科書でも軍の関与を示す記述はない。
 日本文教出版は、前回検定時と同様、「追いつめられた住民のなかには、集団自決した人も多数いました」と本文に「集団自決」を盛り込んだ。東京書籍と教育出版は写真説明で「アメリカ軍の攻撃で追いつめられた住民のなかには、集団で自決するなど、悲惨な事態が生じました」(東京書籍)、「アメリカ軍の攻撃に追いつめられて、多くの住民が集団で死に追い込まれるできごとが起こりました」(教育出版)などと表記した。いずれも検定意見は付かなかったが、軍の関与には言及していない。
 一方、光村図書出版は「対馬丸」や「ひめゆり学徒隊」について掲載。ひめゆり学徒隊については、東京書籍などが「岩間で円陣をつくって自決する人たちもいた」などとする手記を紹介した。