「生物多様性失う」 辺野古訴訟第1回弁論で原告主張


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 仲井真弘多知事による米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた埋め立て申請承認の取り消しを求める訴訟の第1回口頭弁論が16日、那覇地裁(鈴木博裁判長)で開かれた。原告側は「埋め立てが始まれば大浦湾の生物多様性は失われる。仕事も平安な暮らしも難しくなる」などと承認の取り消しを求めた。県側は承認が取り消し訴訟の対象にならないことや、原告には訴訟を起こす資格(原告適格)がないと却下を求めた。

 原告側の仲西孝浩弁護士は「沖縄に米軍基地が集中していること自体が異常で、必要性がゼロどころかマイナスの基地を造るために辺野古の豊かな自然を破壊することは許されない」と陳述。安次富浩原告団長は「人殺しを目的とする軍事基地に美ら海を変貌させてはならない」と取り消しを強く求めた。名護市安部でエコツーリズム事業を営む坂井満さん(40)は「人間の都合で自然の生態系を破壊し、基地を拡大することは、安心で豊かな暮らしにはつながらない」と主張した。
 埋め立てやその後に完成する代替施設の利用により、漁業など生活への悪影響や騒音による身体被害などが生じるとして「重大な損害を避けるため緊急の必要性がある」として承認効力の一時執行停止も申し立てている。県側は「重大な損害が生ずるとは認められない」などとして、申し立ての却下を求めた。
 県が「公有水面を埋め立てるかどうかは、国の判断に委ねられるべきものだ」などと答弁していることに、原告側の三宅俊司弁護士は「国の決定に従わなくてはいけないという内容で、地方自治の放棄だ」と批判した。
 次回弁論は7月2日午後2時から那覇地裁で開かれる。
英文へ→Plaintiffs claim landfill work for building US base will damage biodiversity of Henoko