軽便鉄道開通100年 与那原駅を復元


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完成した与那原駅舎=17日、与那原町与那原

 【与那原】沖縄戦で破壊され、町が復元に取り組んでいた県営鉄道(軽便鉄道)の与那原駅の駅舎がこのほど、町与那原の旧駅舎跡地に完成した。県営鉄道開通100周年を迎えたことし、復元した駅舎を交通資料室として10月にオープンする。

資料室では軽便鉄道だけではなく、山原船や馬車など、交通の要衝として栄えた与那原の交通全般に関する資料を展示する。観光や交流の拠点としての機能も兼ね備える予定。町は今後、整備検討委員会を立ち上げ、内装や展示品の具体的な検討に入る。
 1914年、那覇―与那原間で営業を開始した当時、駅舎は木造だった。31年、県営鉄道の駅としては初めて、鉄筋コンクリート造りに建て替えられた。しかし沖縄戦の戦禍により破壊され、壁や柱の一部だけが無残な形で残された。
 戦後、町役場やJAおきなわ与那原支店として活用された駅舎跡地。2012年にJAおきなわが同町東浜に移転したことを機に、町は13年に同駅跡地整備検討委員会を発足。一括交付金による駅舎の復元を始めた。
 復元された駅舎は鉄筋コンクリート造りの平屋で面積125平方メートル。敷地内には、沖縄戦の被害を思い起こせるよう、旧駅舎の柱の一部も展示の一部として残した。駅舎入り口に掲げた駅名は、旧字で書かれた当時の駅名を再現した。
 町は今後、当時線路があった道路に線路型の舗装をするなど外構工事を進める。さらに15年度の一括交付金に駅舎周辺の土地を含む一帯を公園として整備する事業を申請し、同年中の完成を目指す。
 町では現在、展示資料についての情報提供を呼び掛けている。問い合わせは町企画観光課(電話)098(945)5323。