貸し切りバス値上げ 団体利用減を懸念


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多くの外国人観光客や修学旅行生が利用する貸し切りバス=18日午後、那覇市の県庁北口前バス停

 国土交通省と沖縄総合事務局は、乗客7人が死亡した2012年4月の関越自動車道の高速ツアーバス事故を受けた安全対策の一環として、貸し切りバスの安易な低料金を認めない新運賃の適用を今月1日から開始した。

事実上の値上げとなり、県内では、クルーズ船などで訪れる外国人観光客や修学旅行客を中心に影響が出ることが予想される。旧運賃の適用は移行期間終了の6月をめどに廃止する。
 これまで貸し切りバスの運賃は、国交省と沖縄総合事務局が地域ごとに基準額を設定し、事業者側が基準額の0・75~1・15倍の範囲で運賃を設定することができた。しかし、全国的な競争激化で、基準額の下限より低い運賃で運行するケースが相次いでいた。
 新運賃では、事業者が自由に値下げできる範囲を狭め、それよりも低い運賃を申請した場合は、国交省や総合事務局が厳密に審査した上で変更命令を出す。さらに、これまで「時間制」「キロ制」「時間キロ選択制」「行き先別」と四つに分かれていた運賃体系を「時間・キロ併用制」に一本化する。
 沖縄総合事務局は、バス事業者や旅行業者を対象に25日に新運賃・料金制度の説明会を開く。
 本島中部で貸し切りバス事業を営む男性は「県内ではこれまで、ダンピング(不当廉売)が横行し、1日当たりの運賃は3~4万円が相場だった。新運賃だと6万円以上になる。今後、観光客に貸し切りバスを利用してもらえるだろうか」と不安げに話した。
 海外からの旅行者を受け入れる旅行代理店の担当者は「海外からの観光客の4割は貸し切りバスを利用する。あまりにも急な運賃改定で戸惑っている。25日の説明会に参加して今後の対応を考えたい」と語った。(佐々木健)