グラウンドからの砂ぼこり 学校、近隣住民も困惑


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砂ぼこり発生で近隣住民の苦情も出ていた城北小学校のグラウンド。防砂ネット設置や水まきで苦情は減っている=2日、那覇市

 突然強い風が吹くと巻き上がる砂ぼこり。学校のグラウンドでは乾燥した日が続き、強風が吹くと砂などが舞い上がる。近隣住民や学校関係者からは「少し窓を開けているだけでも部屋の中まで入ってくる」(那覇市内小学校近隣住民)、「目に入って結膜炎になる子が何人も出ている」(浦添市PTA関係者)などの被害を訴える声もある。各自治体の教育委員会は防砂ネットや散水などの対策を立てるが、自然が相手で十分な対応はできていないのが現状だ。

 沖縄気象台天気相談所の崎原富好所長は「冬場は乾燥しやすく、夏場も日差しの強い沖縄の気候では、グラウンドが乾くと強風が吹けば砂ぼこりは立つ」と年間を通して発生する状況を指摘する。

 那覇市のさつき小近くのアパートに住む20代の女性=自営業=は「しょっちゅう部屋の中まで砂が入ってくる。住むまでは砂ぼこりのことなど考えもしなかったのでびっくりした」と語る。同じアパートに住むパートの女性(60)は「結構、砂が入ってくるが、子どもが運動する場所なので仕方がない」と諦め顔だ。

 さつき小学校では、風が強い日は空き時間がある教師が水をまくなどの対応に追われており、「負担はある」という。

 那覇市教育委員会施設課では散水栓、防砂ネットの設置や樹木を植えることで対策している。5年ほど前から市内小中学校7校をモデル校に指定し、校庭の芝生化を試みた。校庭の一角に芝生を植えて経過を観察したが、利用頻度が高い市内のグラウンドではほとんど芝生は育っていない。

 城北小学校では、砂ぼこりが舞うときにはこれまで近隣住民から苦情が寄せられていた。防砂ネットの設置と水まきの対応で苦情はかなり減ったが、一方で学校にいる児童にも「クラスの友達が目に砂が入って保健室に行った」「風が強い日はグラウンドに近づかない」など困惑が広がっている。

 砂ぼこり対策でスプリンクラーを設置している学校もある。那覇中学校は同窓会の協力で導入。浦添市の仲西中は米軍牧港補給地区に関連する防衛省予算を活用して導入した。宜野湾市内は、基地関連予算や市の予算も活用し、ほぼ全ての小中学校でスプリンクラーを導入している。

 スプリンクラー設置にかかる費用は数百万円。各自治体は校舎建て替えや耐震化補修など優先すべき課題を抱え、スプリンクラー導入は厳しいのが現状だ。都市部の学校では地道な水まきでの対応が続きそうだ。(関戸塩)