西原旧庁舎にお別れ 元村長ら出席、46年の歴史「感慨」


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 【西原】西原町役場の移転新築に伴い、町嘉手苅の旧庁舎で2日、最後の業務が終了するとともに、上間明町長はじめ職員が玄関前に集まって閉庁式を開いた。

新庁舎に引き継ぐ町旗が掲揚台から降ろされ、46年にわたる旧庁舎の歴史に幕を閉じた。建設時の村長だった新川崔吉(さいきち)さん(92)も閉庁式に招かれ、感慨深げに思い出を語った。
 旧庁舎は復帰前の1968年、まだ西原村の時代に建設された。現在はサンエー西原シティなどが建つ市街地だが、建設時はサトウキビ畑が広がる純農村の風景だったという。当時、40代の若さで村長を務めていた新川さんは「村の人口が9千人で、役場の職員数は村長以下16人だった。今からすると信じられないね」と庁舎の歴史に西原の近代化の歩みを重ねる。
 新川さんは「(旧庁舎は)役場(与那城在)と農協と郵便局の三つを同じ敷地にまとめるのが目的だった。役場を頻繁に訪れるのはお年寄りで、農協からお金を借りる際の印鑑証明を取りに役場に来るし、年金受け取りには郵便局を使う。利便性向上のために移転する必要があった」と振り返る。
 モダンなコンクリート建築に生まれ変わった庁舎内には、行政機能だけなく住民が利用するホールも造った。そんな庁舎も天井のコンクリートが剥落するなど老朽化が進み、防災上の課題が指摘されてきた。連休明けの7日から、町与那城の地に完成した役場新庁舎で業務が始まった。旧庁舎は解体され、新庁舎建設の費用返済に充てるため跡地は売却される。
 一つの時代を見届けた新川さんは「長い間頑張ってくれて本当にありがとう。ご苦労さま」とねぎらいの言葉を掛けた。

上間明町長ら職員が玄関前に集まって行われた西原町旧役場閉庁式=2日、西原町嘉手苅
新川 崔吉さん