沖縄戦、絵本で継承を 今秀子さんが自作2冊出版


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「気付いたことをどんどん表現し続けたい」と話す、自作絵本を出版した今秀子さん=6日、北谷町吉原

 【北谷】幼児教育に携わり、演劇集団「創造」にも所属して活動する今秀子さん(66)=北谷町吉原=が、昨年12月に「げっとうの花咲くとき」、ことし4月に「うみをおよいだこいのぼりくん」の2冊の自作絵本を出版した。

 「沖縄で戦争があったということを、何らかの形で語り継いでいかなければならない」という思いを抱き、さまざまな資料に目を通し、体験者の証言を聞く中で戦争を“追体験”して物語を形作った。
 第一作の「げっとう―」は戦争で家族を失った子どもたちの体験が語られる。「うみをおよいだ―」は米軍基地から派生する環境汚染を危惧し、自然の大切さをテーマにした作品だ。
 今さんはこれまでに紙芝居や朗読劇など、さまざまな表現に関わっており、県内各地の幼稚園や小学校を訪問して自作紙芝居の読み聞かせするなど、精力的に活動している。訪問先の幼稚園や小学校の先生たちから「自分たちも子どもたちへの読み聞かせをしたい」という要望があり、それが絵本制作のきっかけとなった。
 絵本1冊の制作期間は約1カ月間。初めは水彩絵の具で描いていたが、色鉛筆や和紙を貼り付けるなど工夫を凝らし、現在の表現に行き着いた。思い浮かんだ文章やイメージをその都度パソコンやスケッチブックにストックしておき、後に絵と文章を組み合わせていく。現時点で2作品のストックがあるという。
 「楽しいだけでなく心に何かが残って、問題を提起するような絵本を今後も作っていきたい」と話した。