平和宣言「県外」削除を決定 知事、意図なし強調


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 仲井真弘多知事は23日の沖縄全戦没者追悼式で読み上げる平和宣言について、昨年まで3年連続で訴えてきた米軍普天間飛行場の県外移設要求の文言を削除することを決めた。

今年は県内移設を容認していた1期目の平和宣言と同様、米軍基地の過剰な集中や事件・事故、沖縄戦中の不発弾によって県民の安全が脅かされていることを訴える文言にとどめる方向で調整している。
 県外移設要求を外したことについて仲井真知事は19日、「平和宣言というのは何も決まり切ったことを毎回言うのではなく、今回もだいぶ内容を書き換えている。そういう中から(基地負担軽減の考え方を)酌み取っていただければいい」と述べ、特別な意図はないとの考えを強調した。
 知事による平和宣言は毎年、(1)沖縄戦の悲惨さに触れ、不戦を誓う(2)米軍基地の集中による過重負担など沖縄の現状に言及(3)恒久平和の実現に向けた決意―などを柱に構成されている。
 仲井真知事は1期目任期中の2007年~10年の追悼式で、基地の過重負担を訴えていたが、10年11月の知事選で「県外移設」を公約に2期目の再選を果たしたことで平和宣言の内容も見直した。11~13年は3年連続で「県外移設を求める」などの文言を入れ、追悼式後の記者団の取材に対しても辺野古移設を推進する政府に対し、「辺野古しかないという思い込みは理解できない」(11年6月)などと批判も展開してきた。
 今年の平和宣言をめぐっては、6月上旬から担当部局間で文言を調整。昨年末に辺野古移設に伴う埋め立てを承認した知事は「公約はたがえたつもりはない」と主張しているため文言調整が難航したが、政策的な主張を控え、純粋に戦没者への追悼の念と恒久平和を希求するメッセージにするとの理由に重きを置き、「県外移設」の削除を決めた。