加工強化へ新2工場 勝山シークヮーサー、生産拡大


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 【名護】シークヮーサーの栽培、加工、販売事業を行う勝山シークヮーサー(名護市、山川良勝社長)は国や名護市の補助事業を活用し、ペットボトル充填(じゅうてん)施設と農産物処理加工施設の2工場を新設した。これまで外注に頼っていた部分が、自社製造に切り替わることになり、在来のかんきつ類などを材料に小ロットでの多品目生産が可能になった。6次産業化を進め、生産拡大による農家の経営安定化、担い手育成などに取り組む。

 新設した2工場は現在、試験運用しており、7~8月ごろに本格稼働する予定。25日、同社で落成と創立10周年を祝う式典があり、山川社長は「小ロットでの生産体制が確立され、活用できるかんきつ類は増える。農産物を余すことなく使っていきたい」と新商品開発に意欲を示した。
 ペットボトル充填施設では、仕込み、充填、キャップ巻、梱包(こんぽう)などの充填ラインが整備された。600リットル2基の調合タンクがあり、1時間当たり350ミリリットル換算で1500本の製造能力がある。事業費は約1億3千万円、国の特定地域経営支援対策事業を活用した。
 小ロットでの生産が可能になったことで、既存のカーブチーやシークヮーサーだけでなく、生産量に限りがあるタルガヨーやオートーなどの在来のかんきつ類も幅広く活用できるようになる。山川社長は「外注の場合は大量生産が必要で、機材を持て余していた面があった。活用品種も制限されていた。新工場では生産状況に合わせ製造量が調整できるようになる」としている。加工施設は市の補助を受け、2次加工拠点として整備した。事業費は3200万円余。ポン酢やジュレのほか、化粧品の原料となる種子油の自社精製も計画している。種子油については国立沖縄工業高等専門学校と商品化に向けて共同研究してきた。
 落成式にはおよそ180人が出席。稲嶺進名護市長をはじめ、国や県の関係者らが来賓あいさつした。

ペットボトルの充填ラインが整備された新工場=25日、名護市の勝山シークヮーサー
2工場の落成と創立10周年を祝い開いた記念式典=25日、名護市の勝山シークヮーサー