本島への鉄軌道導入、採算取れず 内閣府が予測調査


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鉄軌道事業採算性予測のモデルルート概要図

 【東京】内閣府は27日、沖縄本島に鉄軌道を導入した場合の事業採算性などの予測調査結果を発表した。鉄道とトラムトレイン(専用軌道の路面電車)の双方で、南北縦断路線(糸満―名護)を基本に仮定の7ルートで新たなコスト削減策を組み合わせた計31ケースを設定。

全ケースで毎年赤字が発生し、開業40年後の累積赤字は900億~7千億円に上ると試算した。費用便益費(費用対効果、B/C)は0・31~0・83。コスト削減策の組み合わせで2012年度調査と比べ大幅に改善されたが、事業化の目安とされる1・0以上に及ばなかった。
 導入に向けた課題検討基礎調査は12年度に続き2度目。今回調査では新たなコスト削減策を設定した。
 鉄道の概算事業費は5千億~9700億円で、B/Cは0・31~0・53。概算事業費でみると、全線単線化の場合、12年度調査比27%減(2千億円)の5500億円となり、最もコスト削減できる。B/Cは、トンネル構造に東北新幹線で採用されている最新技術「SENS工法」を採用することや車両小型化、地下から地上に構造変更を組み合わせた場合、12年度比0・14改善の0・58となった。
 トラムの概算事業費は2900億~6500億円で、B/Cは0・44~0・83。単線区間を拡大した場合の事業費は12年度比で削減率が最も高く、37%減の2900億円。SENS工法などのコスト削減策を組み合わせた場合、B/Cは最も高い0・83となり、12年度から0・24向上する。
 需要喚起策では、短距離運賃割引が一定の効果があるとした。県庁周辺から10キロ超では各駅とつなぐバス路線開設が有効だとした。