節目の年、平和考える 平良、石川さん講演


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 宮森小学校の米軍ジェット機墜落事故から30日で55年、沖縄国際大学の米軍ヘリ墜落事故から8月13日で10年-。二つの米軍機墜落事故の節目を前に、宜野湾市の沖縄国際大学で28日、戦争と平和について考える講演会が開かれた。宮森小事故の体験者で同校校長も務めた平良嘉男さん(62)、県出身で世界の戦場を撮り続けてきた報道写真家の石川文洋さん(76)が、米軍による事故や戦争がもたらした悲惨な光景について語った。

 講演会は、鳥山淳教授が受け持つ「平和学ゼミ」が主催。宮森小2年生の時に事故を体験した平良さんは「給食時間でミルクを飲もうとした瞬間、ドカーンという大きな音がした。一つしかない出入り口に児童が殺到し、校舎の外で最初に目にしたのが仲間の真っ黒に焦げた死体だった」と当時の様子を語った。
 平良さんは、事故から44年間はトラウマ(心的外傷)の影響で現場を訪れることができなかったという。しかし、2008年に同校の校長就任をきっかけに事故を語り継ぐ活動に取り組んできた。「沖縄戦など数々のつらい経験をしてきた沖縄だからこそ、平和について世界に発信する力がある。若い皆さんにはその役目がある」と語った。
 ベトナム戦争など、世界の戦場を撮影した石川さんは「戦争の実態を知り、起きたらどうなるか想像することが大切だ」と強調。「戦争が起きたら何でもあり。私も兵士だったら敵を殺している。皆もそうだ。戦争とはそういうもの。だからこそ起こる前に防がないといけない」と訴えた。
 2年の大城祐里乃(ゆりの)さん(19)は「戦争は時の政治家が始めるものだが、その政治家を選ぶのは私たちだということを意識しないといけないと感じた」と話した。

宮森小米軍機墜落事故の体験、戦争取材の経験を聞く大学生ら=28日、宜野湾市の沖縄国際大学
(左から)平良嘉男さん 石川文洋さん