辺野古 年度内にも埋め立て 知事選後に具体化


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 政府は、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設計画をめぐり、2014年度内に埋め立ての本体工事に着手する方向で検討に入った。移設に向けて政府は、1日の閣議で本年度予備費などから計637億円の支出を決定したが、編成の可能性があるとされる14年度補正予算案でさらに数百億円程度を計上することを視野に、護岸工事など代替基地本体の工事を開始する方向で今後調整するとみられる。

 昨年12月の14年度予算案の策定時点では、まだ仲井真弘多知事が辺野古埋め立てを承認していなかったため、代替基地建設など本体工事の関連経費の計上は見送っていた。
 このため政府は1日に埋め立て海域のキャンプ・シュワブ沖に設置を予定している浮標(ブイ)や汚濁防止膜、埋め立て用の巨大工作物ケーソン(箱形のコンクリート施設)の製作費などに充てるため、本年度予備費ほか支出先を特定しない「非特定議決国庫債務負担行為」から、計637億円を計上した。
 ただ政府は計画を前倒しして移設作業を加速させたい考えで、本年度内のさらなる追加予算措置を想定し、ケーソンの埋め立て予定地への設置・護岸工事やシュワブ内の工事用の仮設道路整備などに着手する方向で検討を始めている。
 ただ11月16日の県知事選に向けて県内世論への影響を最小限にとどめるため、追加予算については情勢を見極めながら知事選後に具体化させる方向。来年1月からの通常国会での補正予算案成立を念頭に、2月ごろ以降に本格的な埋め立てに着工したい考えだ。
 日米が昨年4月に合意した嘉手納より南の基地返還・統合計画ではボーリング調査や詳細な設計に1年程度かかると説明。埋め立て着工は当初15年度を予定していたが、安倍晋三首相の「強い意志を持って早期、着実に進める」との指示で前倒しが検討されている。
 政府は着工を今年秋に前倒しすることも検討したが、知事選の行方が不透明なほか、埋め立て工事に必要なシュワブ内の作業ヤード設置に向けた既存施設解体工事の着手や、海底ボーリング調査の開始なども予定から遅れていることもあり、時期を再調整している。