「偏向教育印象付け」 島尻氏発言、教員から不安や批判の声


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 下村博文文部科学相が集団的自衛権の行使容認について、学校現場で不適切な解説があった場合、指導する意向を示したことについて、学校現場の教員らからは不安や批判の声が相次いだ。

 本島南部の中学校に勤める30代の社会科教員は「大臣発言で現場が萎縮するのは間違いない。基地問題など時事問題を扱う時は、賛否両方の意見を紹介するなど特に神経を使い慎重に行っている」とした。その上で「島尻氏の発言は、沖縄の教育界全体が偏った教育をしていると印象付ける意図があるのではないか」と指摘した。
 那覇市内に勤める40代教員は「時事問題に答えはなく、教師は少なくとも指導要領に従い、恣意(しい)的に教えることはない」と話す。同教員によると、実際に授業で集団的自衛権の仕組みを説明した際、生徒は自然に、他人のけんかに巻き込まれることを連想し「危なくない?」などと問い返したという。
 石垣市内の50代男性教員は「教員が意見を言う時は個人的な見解と前置きし、『私はこう思うが、あなたはどう思いますか』と問い掛ける」と強調した。その上で「そもそも集団的自衛権の行使容認について、政府は国民に十分な説明責任も果たしていない。そのことを棚に上げた発言だ」と批判した。
 沖教組の山本隆司中央執行委員長は「(質問内容の根拠の)事実が不透明で『見込みの質問』をしている時点で、政治家としての資質に欠ける」と指摘した。
 県高教組の福元勇司執行委員長も「現場の教師を封じ込めるための答弁を引き出そうという目的が見える」と批判した。
 下村文科相の答弁については「事実を未確認のまま、国の指導にまで踏み込んで答弁するのは行き過ぎだ」と話した。