米軍中部訓練場上空の高度を拡大 基地運用計画に明記


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キャンプ・ハンセン、シュワブの空域

 【ワシントン=島袋良太本紙特派員】米軍キャンプ・シュワブ(名護市)と同基地に隣接するキャンプ・ハンセン(金武町、宜野座村など)にまたがる通称「中部訓練場」の上空で、米海兵隊が航空機訓練のために設定している飛行制限の高度を高くする方針であることが16日分かった。

海兵隊が昨年、太平洋地域の基地運用計画についてまとめた「戦略展望2025」で記している。
 計画では中部訓練場上空の米軍機による飛行高度について「海兵隊は日本政府とともに特別空域を再設計し、制限見直しに取り組む」と明記。見直しにより米軍には「さらなる空域が提供される」とした上で、小火器を使った訓練がより効果的に行えると強調した。
 日米両政府は現在、シュワブ上空は高度608メートルまで、ハンセン上空は高度912メートルまで米軍訓練による制限空域と定めている。
 計画書では、名護市辺野古での普天間飛行場代替基地建設のほか、岩国基地の拡張、ハワイのカネオヘ基地の近代化、グアムでの基地整備を通して、海兵隊の「航空・船舶による輸送能力が高まる」とも強調した。
 辺野古の新基地については強襲揚陸艦も接岸できる規模の護岸が建設され、現在の普天間のヘリ基地機能に加え、港湾機能が備わると指摘されている。
 現行の再編計画では、普天間に所属する航空機のうちKC130空中給油機は岩国基地へ移転するため、計画書が示した「輸送能力の向上」は主に代替基地への港湾機能追加を指すとみられる。
 両政府は米軍再編で沖縄の基地負担を軽減するとしているが、辺野古移設や新基地周辺での訓練空域の拡張を通して機能を強化させる海兵隊の戦略があらためて浮き彫りになった形だ。
英文へ→US Marines to expand special-use airspace over Central Training Area in Okinawa