辺野古中止を追加請求 ジュゴン訴訟 立ち入り無効も


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 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に反対し、国の天然記念物ジュゴンの保護を求めた沖縄ジュゴン訴訟の原告と日米の環境保護団体は1日(米現地時間31日)、米サンフランシスコ連邦地裁に対し、辺野古への新基地建設差し止めの追加申し立てを提出した。

米軍キャンプ・シュワブの管理権を持つ国防総省に対し、沖縄防衛局が進める工事関連車両などの基地内立ち入り許可を出さないよう新たに求めた。
 米国防総省に対し2008年、中間判決で義務付けられた米国の国家歴史保存法(NHPA)の順守も求めている。
 03年に連邦地裁に提訴された同訴訟は08年、連邦政府の行為がNHPAに違反するという中間判断が下り、国防総省にジュゴンへの影響を考慮した保全指針提出を求めた後、中断していた。申し立てにより訴訟は再開され、最短の場合、5~6カ月で決定が下る見込み。原告や弁護団、国会議員らが1日、県庁と東京の参議院議員会館で同時会見した。
 国防総省はことし4月、連邦地裁に「ジュゴンへの悪影響はない」と結論付けた報告書を提出した。原告らは1日の会見で、NHPA手続きの根幹である「利害関係者との協議」が十分なされていないと指摘した。さらに、報告書作成の根拠である米専門家特別委員会が作成した文書などが公表されないことを問題視、公開を求めている。
 原告の一人で名護市で生まれ育った島袋安奈さんは「海は世界の財産だと考え、沖縄の未来を平和の方向に向けて進めていきたい」と話した。
 日本環境法律家連盟の籠橋隆明弁護士は、5~7月にかけて市民らの調査によりシュワブ沿岸の海草藻場で118本のジュゴンの食跡が見つかったことを指摘。「沖縄防衛局の環境影響評価にも出ていない。飛行場が造られる真下に頻度の高い餌場がある決定的な証拠だ。報告書の審理の中で、NHPAの基本的手続きが実行されていないと判断される可能性は十分ある」と話した。
英文へ→Okinawa dugong plaintiffs file new action in US court to stop construction of air base in Henoko