非入所者は提訴を 弁護士呼び掛け ハンセン病シンポ


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 ハンセン病回復者のうち、療養所に入所せずに治療を受けた在宅治療者(非入所者)の抱える問題を考えるシンポジウム「ハンセン病在宅治療者の被害を考える~隠れて生きるということ~」(ハンセン病訴訟西日本弁護団主催)が2日、豊見城市内のホテルであった。病気を隠し通さなければならない非入所者の現状について、医師、弁護士が話し合った。

 非入所者は裁判を経て和解により国に賠償を請求できるが、これまで県内で和解したのは104人。県内に非入所者は500人以上いるが、大部分が提訴していない。
 訴訟を担当する稲山聖哲弁護士は「非入所者は社会と接点があるため、隠し通したい、知られたらどうしようという恐怖感は強い」と話し、「話したことで受け入れられたと気持ちが楽になった人もいる。情報は守られるので、提訴してほしい」と呼び掛けた。
 熊本訴訟の大月倫子弁護士は訴訟事例から非入所者が受けてきた差別の実態を報告。「これは今も変わっていない。当事者が高齢化し、医療介護が必要となる中、問題はさらに顕在化するだろう」と話した。
 長年、ハンセン病の治療をしてきた和泉真蔵医師は社会がどのようにハンセン病患者と接してきたかを説明。「日本の近代は、それ以前のどの時代よりも患者と家族を最も厳しく迫害してきた時代」と強調した。
 3日は午後1時~4時まで、在宅治療者の相談に弁護士が直接応じる。(電話)098(938)4381(幸喜・稲山総合法律事務所)。