辺野古工事 海保、警告繰り返す 様相一変、海上異様に


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作業現場に近づくことを注意する紙を掲げる海上保安官=11日午前8時半、名護市の米軍キャンプ・シュワブ沖

 台風接近のため約2週間作業が止まっていた名護市大浦湾の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部で11日午前、浮桟橋の再設置作業が始まった。海上保安庁の船舶が海上に“警戒ライン”を引き、抗議する市民の船などを取り囲み、警告しながら遠ざけた。

今週中にも見込まれるブイ設置、海底ボーリング作業を目前に、海保は警戒レベルを引き上げたとみられ、海上は一気に異様な雰囲気が漂い始めた。
 午前6時45分、浮桟橋作業現場のクレーン車が動き始めると同時に、沿岸から500メートルほどの海上に海保のゴムボート、船舶計12隻が並び、拡大した立ち入り禁止水域を示すように“警戒ライン”を引き始めた。各ボートには6人ほどが乗船。沖合には巡視船くにがみなど計2隻も停泊した。
 午前8時20分ごろ、住民の監視船がラインを抜けて現場近くの海域に近づくと、ゴムボートが急行し、拡声器を持った海上保安官が「作業現場から300メートル以内に近づくようなら対処します」と警告を発した。「安全のため工事作業海域には近づかないように」と書かれた紙を提示する姿も見られた。
 警告に対し、市民らは大浦湾を守り平和な沖縄を築くための監視活動だとし、抗議の声を上げた。300メートル以内が危険とする根拠を求め続けたが、保安官は「説明する必要はない。危険な状況だと判断している」と繰り返した。
 新基地建設に反対する市民の船やカヌーが現場海域に向かうと、無線で連絡を受けた海保の船舶4、5隻が事前に航路で待ち受けて取り囲み警告。多い時は10隻近くが一気に集中した。
 緊張感高まる海上とは異なり、桟橋の設置作業は淡々と進み、午前10時ごろには桟橋の浮きが全てつながった。正午すぎには設置作業が完了し、桟橋には海保のゴムボートなどが係留された。